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[コメント] ウィリーが凱旋するとき(1950/米)

フォード映画として最上級かと問われると疑問だが、しかし、十分にスタージェス映画と互角に渡り合える面白い喜劇だ。前半は、主人公ダン・デイリーの、前線への異動の嘆願、上官の却下、昇進、善行賞推薦の繰り返し。
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後半は、ダン・デイリーが、仏レジスタンスの元からワシントンDCへ至るまで、上官への報告と疲労困憊、回復のため酒を飲まされる場面の繰り返し。というこの執拗な二つの反復で大いに笑いを取る。それは正確に云うと、デイリーのアクションによる面白さなのだ。特にドアにぶつかるシーン!

 さて、本作にはフォードとしては珍しい純然たるミュージカルシーンが2カ所ある。まず冒頭、ダン・デイリーの登場シーン。バンド演奏をバックに吉本新喜劇のミュートトランペットのテーマ曲「Somebody Stole My Gal」を唄う。もう一つは、デイリーの帰郷パーティで、ヒロイン−コリーン・タウンゼントを舞台に上げて、二人で唄う場面。上で「純然たる」という言葉遣いをしたのは、劇中で登場人物が自然に唄う場面、例えば『リオ・グランデの砦』や『静かなる男』での歌唱シーンの挿入、と異なり、明らかにミュージカル場面として演出されている、という意味だ。

 ヒロインはデイリーの恋人役コリーン・タウンゼントで間違いないが、彼女以上に存在感を残すのが、レジスタンスの女闘士コリンヌ・カルヴェだ。デイリーがレジスタンスの元から英軍ボートに引き渡される、カルヴェと別れる桟橋のシーンが本作の最も良いシーンだろう。強い風で衣服が波打つ。フォードらしい見事な情感創出だ。とは云うものの、ラストを締めるのはタウンゼントであり、カルヴェ、タウンゼント、いずれの女優もフォードらしく聡明な女性のモチーフとして描かれている。

#備忘で配役等を記述する。

・デイリーの父親はウィリアム・デマレスト。母親はイブリン・バーデンハンク・ウォーデンが、列車で出発する場面と、凱旋パーティのシーンで登場。ホームタウンで列車が止まる場面の教官はジャック・ペニック。タウンゼントの母親はメエ・マーシュ。父親はチャールズ・ハルトン

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] 赤い戦車

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