[コメント] 窮鼠はチーズの夢を見る(2020/日)
強烈な視線劇。大倉忠義が成田凌を誘って行く寿司屋のシーンの視線の演出、カウンター席で横に座った二人をカットバック(切り返し)する演出を目の当たりにした時点から、登場人物の視線ばかり気になってしまった。
大倉の嫁さん・咲妃みゆが、別れ話を切り出す外食シーン。大倉の学生時代の彼女・さとうほなみと大倉に成田とその友人が加わった酒場(ビアレストラン?)のシーンで、ピンクのジッポーを見る、さとうほなみ。さとうと成田に大倉が加わって3人で対決する同じ酒場の場面。あるいは、オフィスでのたまき・吉田志織との視線の交錯。ラスト近くのカフェの場面。
こうやって列挙すると、テーブルを挟んだ飲食シーンがとても多いということが分かる。そんな中で、実にスリリングな視線の演出が繰り出され続けるのだ。大倉が成田に魅かれた(成田が大倉を落とした)理由は充分には説明されず、よく分からないのだが、少なくも画面的には、成田の視線に魅かれた(やみつきになった)のだ、という演出だろう。
また、劇伴をほとんど(ピンポイントにしか)使わない処置も、全編途切れない緊張感の持続に奏功している。今年、私が見た新作邦画の中では最も充実した作品の一つだと思う(それほど沢山見ている訳でもないので口幅ったいですが)。
#『劇場』でも梨が出てきたが、奇しくも、本作でも梨を食べる場面がある。
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