観終わって振り返ってみると、この映画、二人の人物で画面を構成することで成り立っていたような気がする。例えばあるシーンの登場人物が一人で始まっても、必ずそこへ誰かもう一人加わり二人になる。そしてその場は、それ以上でも以下でもなく必ず「ふたり」のシーンとして完結するのだ。

その「ふたり」の「位置」と「距離」がフレームの中を、前後、左右、上下、さらに奥行(広角画面のなか少女も少年もフレームアウトし声だけ)を自在に行き来して巧みに制御される。フレームという限定的な空間のなかで「ふたり」の心の動きに直結した、今どきの若者言葉に託されて互いの自我のぶつかり合いとなってぶつかり合うのだ。

この映画、徹底して「ふたり」とその物理的な「距離」を描くことで、瑞々しくも気恥ずかしい“自意識”を画面にあぶり出して見せた、実にテクニカルでスリリングな映画だった。