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[コメント] ボーダー 二つの世界(2018/スウェーデン=デンマーク)

理解されない孤独感が、仲間の登場で埋められそうになるものの、それがアイデンティティを揺るがす一端となる。自分の場所で自分らしく生きることは当たり前ではないのかもしれない。二つの世界を知ったティーナのさらなる葛藤が悲しい。コメントを完成するまで非常に時間がかかった作品である。気持ちの良い作品ではないが、見てよかった。
jollyjoker

**ネタバレ注意**
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福祉国家スウェーデンという印象が強いが、ここでも「トロール」という差別はあるのだった。

例えば虫を食べるティーナを見て気持ち悪いと思う自分がいる。得体のしれない・特殊な嗅覚を持つ者を、動物的で野蛮だと思う自分もいる。しかしナマコはどうだ、タコはどうだ、犬を食べる民族さえいる。自分と異なる他者を否定したり排除してしまうニンゲン。こうしてマイノリティが脇へ押しやられて減少せざるを得なかった歴史もある。なぜそれぞれの文化を認めることができないのだろう。自分が属していると信じている世界を、どちらか一方しか選択できないのだろうか。

ティーナの同居人は特段差別意識は持っていないようだが、彼の存在が、一般社会での「生きにくさを抱えたものが身を寄せ合う」という構図となり、判りやすい表現となっている。

被差別者の復讐が小児ポルノの摘発と取り換え子であることが衝撃だが、『ぼくのエリ 200歳の少女』でも感じたが、原作者ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの成育歴が悲惨なものだったのではないかと危惧してしまう(大きなお世話)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH ペンクロフ[*]

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