[コメント] リンゴ・キッド(1966/伊)
これら三作とも原題は主人公の名前であり、本作はマーク・ダモン、次作『さすらいのガンマン』(『Navajo Joe』)はバート・レイノルズを主演者としてハリウッドから迎えて作られている。(ついでに云うと、その次の西部劇『黄金の棺』(1967)では、ジョゼフ・コットンが主演なのだ)。
しかし、イタリア語版を見る限り、主人公の名前はジョニー・オーロであり、劇中、リンゴと呼ばれる場面はない。米国版タイトルには「RINGO」という名前が入っているので、一応、ジョニー・リンゴ(実在の高名なガンマン。『駅馬車』のジョン・ウェイン、『拳銃王』のグレゴリー・ペック、『OK牧場の決斗』のジョン・アイアランド)をモデルにしている、ということなのだろう。
本作もコルブッチお得意の、荒野の向こうから乗馬がやって来る待ちポジのカットから始まる。マーク・ダモンは黄金の銃を持ち、黄金の拍車を付けている。舞台になるコールドストーンという町の真ん中には大砲が陳列されており、鶏がその周りで遊んでいる。これも面白い。『続・荒野の用心棒』の太い枯れ木と同じような趣向か。酒場女・ヴァレリア・ファブリッツィの歌唱シーンは英語の歌詞だ。この酒場のシーンでもズーミングを使いまくるのが、玉にキズだが、それほど嫌らしくない演出だ。
ダモンは中盤以降、ずっと留置場にいる(一度抜け出して、もう一度自分から戻って来る)、というのがポイント。クライマックスの対決では、保安官とその妻と留置場にいつもいる老人が立て籠る。老人は、『リオ・ブラボー』のウォルター・ブレナンのような役回りで、旧式銃を使う。この銃撃戦も、よく撮れているし、ダイナマイトでの、町の爆破シーンもかなりのスペクタクルなのだ。また、保安官役のエットレ・マンニも常に毅然としていてカッコいい。コルブッチの初期西部劇は、どれも正統派の娯楽西部劇として水準以上の作品だ。
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