[コメント] 光りの墓(2015/タイ=英=仏=独=マレーシア)
『ブンミおじさんの森』のジェンおばさんが本作では主役だ。こゝでの彼女は左足に比べて右足が短いという設定で、両肘に杖をつけている肢体不自由者なのだが、廃校跡の病院の入院患者(兵士たち)を、ボランティアで介護している。
患者たちは、皆、眠り病とでも云おうか、眠って目を覚まさない。ある日、突如覚醒した患者たちは、しかし、起きていても、急に眠りに落ちる。食事中やジェンおばさんたちが介護中にガクンと崩れ落ちる。ラストは、目をカッと見開くジェンおばさんのカットで暗転。本作は、眠ること、眠れないこと、目を閉じること、目を見開くことの映画だ。
また、タイトルの通り光の映画であり、色の映画でもある。アフガニスタンの米軍でも導入されたという、眠る患者の夢をコントロールする機械。これが青や緑、紫、赤と色が変わる。あるいは、街の中や、映画館(シネコン)のエスカレーターのカットでも、ワンカット内で画面の色が徐々に変化する。多分、ポストプロダクションでの処理だと思われるが、こういった理路を説明しない、でも映画の画面として面白い、豊かである、といった試みを、臆することなく成立させてしまうのだ。
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