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[コメント] きみはいい子(2015/日)

周りの世界とのより強固な関わりを模索するかのような自閉少年(加部亜門君、驚演)のピュアで偽りのない存在感と、教師が出した唐突な宿題に、嬉々として、あるいははにかみつつ応える子供たちの素直な表情がこの映画のすべて。作り物ではない優しさを感じる。
ぽんしゅう

このストレートな肌感覚の優しさは母性そのものだ、と言ってしまうのは乱暴だろうか。中脇初枝の原作に流れていたであろう思いを呉美保が劇中で認知症ぎみの独居老婆(喜多道枝)やシングルマザー(内田慈)らの心情を借りて「救い」として目に見えるカタチで提示する。それも、子供たちではなく、大人たちへ向けて。

虐待、ネグレクト、いじめ、障害への偏見。加害者や被害の放置者は常に大人だ。いまや現実社会では個人としては対処しきれず、行政や学校、地域、警察、NPOの連携が求められて久しいが問題が後をあとを絶たないのが実情だ。確かに足りないのは連携の前提となる「肌感覚の優しさ」なのかもしれない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)jollyjoker[*] けにろん[*]

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