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[コメント] 日曜日が待ち遠しい!(1982/仏)

ほんと、トリュフォーって話を見せるのが下手だなあ
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あのー、私、ゴダール嫌いのトリュフォー好きなんですが、と十数年言い続けているんですけどね、最近ちょっと思うんです。

ゴダールって、実は巧いんじゃないかと。トリュフォーって、実は「へたうま」なんじゃないかと。いや、トリュフォーがヒッチコックに感化されたこうした作品を観ると「うま」かどうかすら疑わしく思えてくるんですが。

オッサンである私が、まだナウなヤングだった頃はゴダールを叩いたわけですよ。 ゴダールは文法が違うので叩くのは比較的容易なんですな。 ところがトリュフォーは「いい映画」に見えるもんだから叩きにくい。 ちょいワルオヤジになった今、あえてトリュフォー逆再評価。若い人は「つまらない」って言えるでしょうよ。オッチャンくらいになると愉快な映画なんだな、これが。でもハッキリ言うよ。ちょいワルオヤジだからな。トリュフォー、下手。

(他の映画で見られる)男女の機微を描く時の緊張感が、サスペンスとなるとまるでない。 それは狙いか? いやあ、違うと思うなあ。 この映画、十数年ぶりに再鑑賞したんですが、もう大爆笑。 ロマンチック・コメディーってんだから笑えて当然なんだろうけど、監督が意図していないところで笑ってる気がする。 だってさあ、省略の仕方とかメチャクチャじゃん。

思い返せば、ヌーヴェル・バーグだなんだかんだ言っているが、トリュフォーの取り上げる題材ってのは意外に古典的なものが多い。 でも(古典の監督達のように)話を画面で伝えられないもんだからナレーションを多用する。 もう少し好意的に言えば、「撮りたいもの」が先行してそれ以外はどうでもいい。 男女の機微を描いた映画は「撮りたいもの」が多くて緊張感を保っているが、こうしたサスペンスは「どうでもいい」部分が多すぎて観ていて笑える結果になっている。 どうだ。トリュフォー新解釈だ。

ちなみにこの映画でトリュフォーが撮りたかったのは「脚」だと思う。 ファニー・アルダンのコスプレや窓から見える脚もそうだし、何よりファニー・アルダンが歩くシーンが多い。 ストーリー上必要な描写をすっ飛ばしても歩くシーンの扱いは長い。 ラストの子供の足遊びは「この子たちが大きくなったら誰が美脚になるのかなあ」という描写なのだ。いや、それは違うな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 煽尼采[*]

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