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[コメント] 日曜日が待ち遠しい!(1982/仏)

ミステリーとしては、真相はまるで面白くなく、恋愛心理の絡ませ方も稚拙。このトリュフォーの緩さ、甘さは「味」なのかもしれないが、ナンパ・シーンにも一端が見える、トリュフォーの馴れ馴れしさと享楽性が、僕には無神経に感じられる。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えば、ベルセルが自宅で、妻と共に険悪な雰囲気でいるシーンでの、呼び鈴が鳴り、持っていた新聞を取り落とす妻の動作が、二つのカットで繰り返される不自然さ。或いは、殺害されたベルセル夫人が担架に載せられ運ばれるシーンで、死んでいるはずの彼女がなぜか、閉じていた目を開くこと。これは、単純なミスというのではなく、ラストカットの「『日曜日が待ち遠しい!』でした」という茶目っ気ある字幕の挿入と同様の、「これは映画であり、作り話ですよ」という目配せだと考えるべきなのか何なのか。いずれにせよ、トリュフォーのそうした緩さが僕には神経に触る。

まぁ、真犯人の弁護士が、電話ボックスで警官に取り囲まれる中、拳銃自殺するシーンの俯瞰ショットとか、バルバラが、地下の部屋の小窓から、街道を歩く女性の足を見つめているのに気づいた後、自分も窓の前を歩いてみせるシーンだとか、バルバラが「映画で見たの」と言う、警官の目を誤魔化すためのキスを、後で唐突にベルセルが反復するシーンとか、秘書募集を見て社を訪れた女性が、一本指で見事にタイプを打つのにバルバラが感心するシーンだとか、女性秘書という設定が『サイコ』を思わせるバルバラが、車の運転をする姿をフロントガラス越しに正面から捉えるというモロ『サイコ』なカットで社長と同乗していたりとか、金髪ではないから自分は社長の好みではないと自嘲するバルバラの台詞がジャネット・リーへの当てつけのように聞こえる可笑しさだとか、色々とセンスを感じる箇所はある。が、そうした瞬間的なセンスはともかくとして、トリュフォーは、映画全体を引き締めるような演出的センスを欠いていて、しかもその緩さを軽妙さとして通用させようとしている、また通用してしまっているのが、どうにも気に食わないんだよな。

電話で一方的にヒステリックにわめき立てる謎の女が、株で稼ぎが得られるのに映画館のモギリをしていることだとか、バルバラが、社長のベルセルと協力し合いながらも彼が犯人である可能性を疑っている面もあることだとか、モギリの女の部屋で格闘した相手が神父だったことだとか、面白く膨らませてくれそうな、思わせぶりな要素がいちいち不発に終わるのが虚しい。

(評価:★2)

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