[コメント] 仁義なき戦い 頂上作戦(1974/日)
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高度経済成長で力の社会に台頭してきた最大勢力「市民」。1作から4作目を通じて抗争劇を娯楽として描いてきながら、きちんと引力と斥力の中の暴力団が描けちゃってるあたりがこのシリーズ凄い。
温泉旅館での同窓会で総刺青の男が屈託のない笑みで恩師や同級生と談笑するシーンに必要悪として暴力を受け入れてきたかつての日常が読み取れるし、ノミ屋の青年が殺しを決意するトリガーがカラーテレビだったり、挿入されるプロ野球のナイター(あえてナイトゲームとは言わない)が、カープvsジャイアンツの試合で、市民球団vs大資本もしくは地方vs中央の対立がそこはかとなく匂っていたり、暴力(シノギ)よりもふつうにタクシー会社を経営したほうが儲かる世の中になっていったんだなあと、唯一そういう社会を予見しながらも戦いに身を投じていった武田と、混沌の社会に道を極めようと生きてきた広能の、最果ての網走での2人の詠嘆にもつながっていく。
なにせ敵の組織の社長が、自分の部下が今からおたくの社長を襲撃にいくのを教える見返りに、おたくの社長から2000万円融通してくれるよう口聞きを頼んでくるわけである。思わず「ボケ!お前が止めんかい!」とツッコミを入れてる小林旭が正論であり、そろばんを片手に帳簿の前で必死な加藤武は、自分がおかしなことを言ってる自覚がまったくないのである。捻じれてしまったのは使っていたものさしなのか、ものさしで測っていたもののほうか、 間尺に合わんのう、なのである。
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