[コメント] 永遠の0(2013/日)
愛する家族は誰にでもいた。その中で、どんなことをしてでも生きて帰りたい、果たすべき任務を放棄してでも家族のもとへ戻りたい、などと考える者が、どうして生まれえたのか。
主人公の人格は、わりと整理されていたと思う。だが真珠湾攻撃で、「(敵の)空母がいなかった。空母を叩いておくべきだった」とかなんとか言っていたのは矛盾ではないか。これは、自分の任務をきちんと果たした者の台詞であるからだ。
(ミッドウェー海戦で、「すぐ飛び立て」と言うのはまだしも、「だったら爆弾を積み換えるべきではなかった」などと言い出したのは、ありゃ完全に“困ったちゃん”だった。)
特攻もそうだが、戦中の日本の軍隊に兵士の命を軽視する傾向があったのはこの映画の通りだろう。兵士自身にも、死に急ぐというか、命をなげうつことへの、ある種、肯定的な思いがあったようだ。
だがこれは、敗戦の可能性が色濃くなってからとりわけ特徴的になっていったものだ。その状況に身を置かれた者の心情を慮るならば、しのびない、とは言えるはずだ。
家族愛は大切な価値観だが、それをもって戦場の兵士を英雄と描くのは無理だ。またその結果、命を簡単に消耗する日本軍隊への批判としても、中途半端なものになった。
65/100(14/01/11見)
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