キレキレに冴え渡っているとまでは言わないがちょっと気の利いた演出、もう15分ほど短くすべきとは思うけど押さえるとこを押さえたウェルメイドな脚本、あまり頭は良くなさそうだけど憎めないキャラクター、斬新とまではいかないけどそれなりにけっこう新鮮な「絵」を見せてくれるCGI（敵母艦のデザインやエイリアン造形、そしてあのギロチンヨーヨーみたいなやつ）等々、「大傑作」とまでは言えないが「なかなかいい感じのB級の傑作」的なテイストは横溢している。もちろんバジェット的にも「ユニバーサル100周年記念」という背負わされたもの的にも全然B級ではないのだが、見ているときの感覚はどうしてもB級だ。

まあそれはつまり、予算に見合ったゴージャスさ・貫禄に欠けるということで、それは確かに欠点だろうけど、元々の企画的に子供向けボードゲーム『BATTLESHIP』（『レーダー作戦ゲーム』）の映画化なんだからこの程度が上限だと思う。モノポリー映画化とかテトリス映画化みたいな企画と本質的には変わらないんだもん。同じハスブロとはいえ『トランスフォーマー』のように膨らませるのが難しい題材だと思う。

しかしそんな膨らませづらい「原作」を、しっかり劇中で話に絡めて再現しているのは偉いなーと思った（浅野忠信が指揮を執るとこ）。ちゃんとサスペンスとして、派手なCGIドッカンどっかんの中でアクセントになっている。最後の戦いもちょっと気の利いた「作戦」で勝つし、物語がブリトーで始まりブリトーで終わるという小道具/台詞の使い方も悪くない（いや、このクラスの大作でやるような種類の気の利かせ方ではないのは認める。まあマヌケに見えるよね）。

そんなわけで、アメリカでの評価が散々だというのはちょっとわかんないな。いや、ウェルメイドに楽しい映画だと思います。大金かけてウェルメイド止まりってとこが批判の理由かもしれないけど……。