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[コメント] 冬の小鳥(2009/韓国=仏)

事態を「理解できない」のではない。「信じられない」のだ。キム・セロンのまなざしはじゅうぶん以上にそれを表現している。「子供であること」を失った虚ろな表情に心を裂かれる。子供から笑顔が奪われることに私は耐えられない。彼女が笑顔を取り戻すこと、それだけを祈って私はスクリーンを見つめる。
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**ネタバレ注意**
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結果を云えば、彼女は笑顔を取り戻す。たとえば白人のコミック・ショウを見て、彼女は確かに笑う。しかし空港におけるラストシーンではどうだろう。その所在なげな面持ちと歩み。父親の背中のフラッシュバック。希望に満ち溢れた終わり方だと云うことは難しい。映画は必ずしも幸せを約束しない。ともあれ、文字通り彼女は自らの足で前進している。彼女の幸福な未来を願わない観客はいないだろう。

「合唱」や「記念撮影」といった細部にも参る。それは観客の心を揺さぶる演出として使い古されたものと云ってもよいはずだ。しかしセロンに限らず、そこで演じられる子供たち皆の途方もなく複雑な顔に私は打ちのめされてしまうのだ。ウニー・ルコントが選択したぶっきらぼうな語りには、豊かに顔を描く野心が潜んでいる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] セント[*]

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