[コメント] ヒーローショー(2010/日)
社会の狭間にいる青年たちの日常を鋭く見つめた青春の一編、と通り一遍風にこう書いちゃえばば何となく自分自身が高踏的で厭な人間に思えてくるほどだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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どこにでもいそうなうだつの上がらない青年群。世間からはほとんど無視されているかのような若者たち。明日を目指してはいるが、金も時間も根気もない、ぐーたらな日常が待っているだけ。そんなどこにでもいる若者がひょんなことからまさかと思う殺人の場に遭遇してしまう。簡単に命を落とす若者。しかし、それも現実なのだ。
だが、映画はそこから閉塞感のある逃避劇にはしない。同じ名前を持つ二人の若者はそれぞれお互いを解り合いながら一歩ずつ前を歩こうとする。
決して美しく撮ろうとはしないカメラと社会からはほとんど無視されている人々を前面に出すことにより、社会的その他大勢の人々の蠢く日常を切り取ることに成功している。
行きがかり上なんとなく人を殺してしまうシーンは秀逸です。日常の中の非日常はこうして私たちの中に、常に実際のところ潜んでいるのだ。うまいね。
俳優顔していない出演者たちが新鮮ですこぶる気持ちいい。特に主演の二人は立派です。役柄にも恵まれたが、後藤淳平は目に勢いがあった。大きな船を任せてもいい雰囲気が漂っている。
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