[コメント] かいじゅうたちのいるところ(2009/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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原作と違うのは、マックスはただ単に悪さをした罰で部屋に閉じ込められたのではなく、観客にも同情出来るような理由で(或る意味正当に)親に反発し家から飛び出す、となっている所だ。これは色々な点で意味合いが異なってくるようにも思える。
またかいじゅうたちのいるところとの行き来に関しても、マックスは一年と一日航海したあと唐突且つ淡白にかいじゅうの王となり(百獣の王ならぬ)、その後泣き惜しむかいじゅうたちを残して淡々と帰ってくるのだが、映画ではかいじゅうたちとの心の触れ合いこそが話の核心を成している。
原作の極端な淡白さはそれが「絵本」である事、まさにそれ故であり、それでこそ一年と一日の航海で行き来したかいじゅうの国の話を違和感なく話し切れるのだ。この方が子供の夢としては自然であるし、帰って来た際に部屋に置かれている夕食でのみ描かれる母親との絆についても、子供からみた大人という「距離感」は寧ろその淡白さの中でこそ自然に描かれ得るのだ。
しかしそれでは映画は成り立たない。子供たちが絵本を読む中で心の中に描き育む様々な感情(情操)を、この映画ではスパイク=ジョーンズ監督と少年マックス=レコーズが、解釈・表現する事となる。優れた絵本とは、淡白な表現によっても子供の中に様々な感情を喚起する(といっても無軌道なものではない事がミソ)ものでもあると思われるが、映画では監督や役者の解釈・表現が観客の心境に如何に共鳴するか、と言う事になるのだろう。
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