[コメント] 女の子ものがたり(2009/日)
ただただ、今の生活を甘受する事を良しとしなかったなつみ(大後寿々花)。それを受け入れたみさ(高山侑子)ときみ子(波留)。平等に不幸が訪れる地域社会の現実。そこから抜けるための心構えが「知ろうとしないことは恥ずかしい」という考えである。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作で描かれている男は徹頭徹尾「バカ」である。「貧乏」というだけでいじめをし、「アルマーニちゃん」に身を固めガソリンを盗ませパトカーとカーチェイスを繰り広げ、家中の金をかき集めて「最後の一勝負」をした挙句に自殺する。その周りには「バカ」と寄り添わざるを得なかった女たちの姿がある。その女たちはもれなく不幸である。
「なんとなく幸せになれないことが分かっていた」というナレーションがあるが、それが規定路線でありその町を離れるということに関して一切関心がない。それを素直に受け入れてしまうことは恥ずかしいという事なのである。
義父(板尾創路)を亡くしたなつみが海に向かって「知ろうとしないことは恥ずかしい。」と言う。その言葉に対して二人は「そんなことはない」と言う。この瞬間になつみはある意味で二人を「切った」のだろう。それを感じてきみ子はなつみの武器である画を褒めた上でその決断を後押しする。
「この町から出て行け。そして・・・、二度と帰ってくるな。」
強烈な言葉で切りつけながら、しかし、そこには強い信頼関係が窺える。何かを託し、受け取ったやり取り。やはりこのシ−ンが一番強烈であった。
(2009.08.29 シネチッタ)
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