[コメント] フレンジー(1972/米)
お馴染みのカメラワーク&「見せない」演出も単なる自己模倣に終わらず、時代のニーズに合わせた「見せる」演出と対比させる心憎さ。プロットはヒッチコックお得意の「巻き込まれ型」。そして→
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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クライマックス、連続絞殺事件の真犯人を見つけだし、主人公の冤罪も晴れてハッピーエンドかと思いきや実は全然そうではない。彼は職をうしない、相も変わらず酒飲みの穀つぶしであり、しかも現在の恋人や密かな心の支えであった元妻をうしなっている。そんな過酷な「その後」をフォローする後日譚など不要とばかりに、当該の事件が解決した時点でビシっと物語を終わらせてしまうヒッチコックの感性に、職人意識を感じる。クールだよね、あのエンドロールの棺桶。
しかもおそらくその後、警部の奥さんが作る手料理を食べなきゃならない主人公。なまじ彼の逮捕が冤罪であることを示唆した恩人であるだけに、うかつに逆らえなさそうだ。案外それが彼の最大の受難かも知れない。
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