[コメント] スカイ・クロラ(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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なんばパークスのレイトショーで見た。2008.8.5
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これは永遠の青春を生きなければならない「キルドレ」達が織りなす、静かで、うつろで、せつなく、はかない物語だ。思春期で成長が停止し、自殺か他殺でなければ死ぬことがない彼ら「キルドレ」は、戦争という名の疫病を克服してもなお本能的に闘いを求めずにはいられない人類の衝動を埋めるため、誰のためでもない代理の戦争を戦っている。
永遠に大人になることがない彼らは、私たちが通過した激しい焦燥感を持つことがない。ひたすら永遠に続くかに思える日常を淡々とやり過ごしていくだけだ。
だが、何のために生まれて、何のために生きるのかを自問するとき、思わず運命に一石を投じざるを得なかった主人公達に強い共感を覚え、気づかないほど静かに訪れるクライマックスには心がふるえた。
このような上質な作品を同時代に劇場で見られる幸運に感謝したい。
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アニメ画的な地上の光景と、フルCGで描かれる空中シーンの対比はすばらしく、そしてスカイウォーカーサウンドの音響の緻密さには、ただひたすら圧倒された。
ただ、かつてヘビースモーカーで現在嫌煙家の私にとって、本編でひたすら消費されるタバコの多さには辟易して少々気持ち悪くなった。 たゆとう煙が、時間と空間のスケールを表すと同時に、タバコという存在そのものが、ある種の自殺願望を象徴しているのかとは思うが、タバコが嫌いな者には少々キツいシーンがあった。それだけは残念だ。
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エンドロール途中で帰ってしまう人が数人いたが、そういう人を見るたび、どうしてこのくらいの時間を最後までつきあえないのだろうかと、本当に不思議に思う。特にこの映画では、エンドロール後に非常に説明的なカットが入るので、この親切すぎるカットの必要性の是非はともかく、最後まで見ないと損だと思う。
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