老若男女を問わずみんな携帯電話を持つ時代。それは取りも直さず、誰もが何時でも何処でもムービー撮影できる時代になったことを意味する。9.11以降、動画はごく身近なものとなった。街中で通り魔が暴れた時、街中に飛行機が不時着した時、誰かが映像に収めているだろうと思った。そしてその通り、翌日のニュース番組で映像が放映された。

自由の女神像が吹っ飛んでくる場面。ここに本作品成立の背景を端的に説明する光景が映し込まれている。路上に転がった頭部に向かって、多くの人が携帯 or カメラ片手に群がって行くのだ。普通は逃げる？ いや、きっとその場に居合わせた人の何割かは実際にそういう行動を取るだろう。カメラを持ち歩くことで人間の行動様式は変化したのかも知れない。

被災者のハンディカメラで撮影されたという映像が、これから先、次々世に出てくるのは間違いない。その度にきっと「これ、クローバーフィールドみたいだな」という感想を持つだろう。現実はいつしか映画を追い越してしまう。しかし少なくとも本作品は、参照される映画として記憶に残りそうだ。星4つ。