[コメント] クワイエットルームにようこそ(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
以下のレビューについて。多くの精神科関連の病気が、脳の機能障害などが理由であり、怠けや甘えや本人の努力不足でないことくらいは、私も理解していることを、まずお断りしておきます。
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はっきりいって、ひどい話は出てこない。
睡眠薬をアルコールでたくさん飲むなんて、エキセントリックな感じしますけど、基本的に、支援者がいて始めてできること。衝動的にしてしまうのは病気に他ならないですし、苦しいでしょうけども。やはり恵まれてた人しか出来ないと思います。現実には、明日の飯のために、それは許されないようなひと、もっというと、そうやすやすと「狂ってる余裕すらなくて、苦しんでいる人」が、現代の日本にはたくさん居ると思うんですよ。
本作は、完全な脳の機能障害なんだろうなあ、直らないんだろうなあ、と感じさせる深刻な病状の人物しか出てきません。逆に、これでいいの?の印象です。たとえば、うつ病とかを描いてしまうと、日常生活のなかで、違和感を感じつつも、だましだましやっている人とかをマジに描かなきゃならなくなって、もっとドロドロとした話になると思います。コメディーに割きたいはずの時間をすっかり取られて、笑えない映画になってしまいます。
そういうエピソードを挟まなくてすむ映画作りが、器用で合理的という感じです。クワイエットルームの無機的なイメージが、映画全体にも広がっているといいますか。 内田有紀にしても、蒼井優ちゃんにしても、大竹しのぶにしても、ドロ臭い生育暦は語られない。内田有紀の観た視点でしか描かないのだから、こんなところも、無機的です。思わず語りだしたくなるところ、主人公カメラに徹するのは、カッコイイと思いました。
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