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[コメント] それでも生きる子供たちへ(2005/伊=仏)

この種のテーマを扱った映画にありがちなドキュメンタリ・タッチを安易に採用せず、七篇とも劇映画らしさを志向している点にまず好感が持てる。あからさまに教訓的なメッセージの発信を慎んでいるのもよい。どの篇の子供も皆よい顔をしていて、メッセージとしてはそれでじゅうぶんだと思う。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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七篇中で最も優れているのはステファノ・ヴィネルッソの第六話か(撮影はヴィットリオ・ストラーロ)。少年が必死で犬から逃げるところをたっぷりと見せておきながら、それがその後の展開にほとんど繋がらないという作劇の感覚はちょっと面白い。ラストに出てくる電飾に彩られたメリーゴーラウンドの存在感も光っている。

第六話と並んで撮影に見所が多いのはジョーダン・スコットリドリー・スコットの第五話だろう。水面をゆくボートや林、戦場を美しく捉えてみせるカメラがすばらしい。

エミール・クストリッツァの第二話は(短い作品だけあって)クストリッツァ的な凄まじいテンションの高まりは見られないが、やはり音楽の使い方が印象に残る。少年院の院長のキャラクタもよい。

メディ・カレフの第一話は抽象性(さらには、それによる映画の普遍的な相貌)の獲得を目指したと思われるが、その試みはそれなりに成功していると云ってよいだろう。単に説明的描写が少ないというだけでなく、たとえば、撃ち合いの場面が人物を真正面から捉えたショット―切り返しショットで成り立っていることも抽象性の獲得に貢献している。

ジョン・ウーの第七話は古典的な物語構造を持ちながら、その割に見せ方はいささかケレン味が過ぎるというか、ジョン・ウーのセンスはやっぱりちょっと変。

スパイク・リーの第三話はとりわけ演技が充実している。ラストは予定調和の感が強いものの、短編作品の落とし所としては無難なものでもあろう。

カティア・ルンドの第四話におけるスラムと高層ビルディング群を対比的にワンカットに収めた画面は図式的過ぎるきらいもあるが、効果的であることは認めざるをえない。「その図式は自分たちの生活を規定しているのだが、そのことに対していかにも無頓着」といった風情の子供たちが健気。

(評価:★3)

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