[コメント] UDON(2006/日)
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とはいえ、けっこう面白かった。ただ、脚本はシンプルながらよく練られているなぁ(うどんだけに)と気分よく観ていたら、オチを読み違えていてちょっとびっくり。いや、ラストで、てっきりコースケはニューヨークでうどん屋をやってると思ったんです。それも、タイムズスクエアのど真ん中に巨大な店舗を構えてて、「オー、デリシャスネーワハハー」なんつってニューヨーカーが殺到しているという。んでもって「オヤジ、俺はいま、世界を笑わしてるぜ!」という。なんだカミングスーンて。
というのも、親父が亡くなったあとの「キャプテンウドン」の壁の落書き。それと、その横にあった「おとうさん」の文字。あれはコースケが子供のころに描いたものだと理解したんですが、だとするとあのシーンは主人公にとって、本当のヒーローは親父だったんだということを発見するシーンだったはずなんです。そして彼はうどんのソウルを理解する。物語の中で主人公が帰着するべきはやはり心の奥底に眠っているソウル(魂)であってほしいと思うわけで、夢破れた青年がうどんを通してルーツでソウルを再発見し、「美味いものを食わせて笑わせる」ということに価値を見出したのだから、最後はそのソウル・フードで勝負していたほうが美しく終われたのではないかなぁ。
だって彼は、うどんについてはとてもよく勉強して努力したけれど、芸事に関しては何も進歩してないはずじゃないかと。どっかで芸人としての夢を諦め切れていなかったのだとしたら、それは全身全霊をかけてうどんを打っていたわけではないということになり、となると、「あーそれでも親父の味って再現できちゃうんだ」みたいな、「松井」の看板を貶めたような印象も残るわけで。何か最後の最後で色気を出してしまって、もったいないなーと思った。というか、いらない色気が出てたのは最後だけではないのだけれど。本広監督の癖なのかな、いらない色気。
あと、讃岐というのはすごく独特な、きれいな景色の土地なんだなぁということが知れたのは収穫だった。それも空撮大好き本広監督のおかげか。
なんだかんだで、讃岐うどん食いたくなったので甘めで★4にします。
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