コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] カンサス騎兵隊(1940/米)

これはちょっと、マイケル・カーティスを見直してしまった(意外にやるやん、という意味の方)。まずは、活劇シーンがよく撮れている。最初の戦闘場面、2頭立て馬車に飛び移るスタントを含めたチェイスシーンは、『駅馬車』の二番煎じとも云えるが、
ゑぎ

 騎馬の疾走感がいいし、ラストの兵器庫での攻防戦は、建物が小高い丘の上にあり、騎兵と歩兵による攻撃が斜面(上り坂)である立地が効いている。途中から大砲での砲撃になり、兵器庫のレンガ塀が次々に崩される画面も迫力があるのだ。あと、エピローグの処刑台の超ロングショットも凄い造型で、これは合成なのかも知れないが、禍々しく美しい絵画的な画面になっている。

 また、多彩なキャラクターの描き方も見事なもので、実在の人物を演じる主軸のスター俳優だけでなく、コメディ・リリーフのコンビ、アラン・ヘイルグィン・ウィリアムズの使い方とか、ラスト近くのボールルームのシーンで突如登場するスーザン・ピータースの尋常じゃない華やかさだとか、少ない出番だが印象に残る。そして冒頭からエンディングにいたるまで、ヴァン・ヘフリンが敵役として複雑な役割を担う。これらによって、とても重層感のある映画になっている。

#西部開拓史(というかアメリカ建国史)を踏まえて脚色され、作られており、実在の人物や出来事がプロットに取り入れられている。そのあたりも含めて、配役を中心に備忘を記す。

・ウェストポイントのシーンから始まるが、エロール・フリンロナルド・レーガンをはじめ、主要な若き将兵は実在の人物。レーガンは、第七騎兵隊で高名なカスター将軍の若かりし日を演じている。

・ヒロインはオリヴィア・デ・ハヴィランドで、フリンとレーガンが彼女を取り合う展開。

・本作の騎兵隊が戦う相手は、レイモンド・マッセイ演じる奴隷反対論者ジョン・ブラウンの率いる集団。集団の中に、隻腕のラッセル・シンプソンワード・ボンドジョー・ソーヤーなどがいる。

・騎兵隊側のシーンで、ロバート・E・リー将軍や、後のアメリカ連合国大統領ジェファーソン・デイヴィスが登場する。スーザン・ピータースは、ジェファーソン・デイヴィスの娘の役。

・クライマックスの兵器庫での戦いは、ジョン・ブラウンによるハーパース・フェリー兵器庫襲撃事件(1859年)を描いている。

・原題の「SANTA FE TRAIL」は、ミズーリ州フランクリンからカンサス州を経てニューメキシコ州サンタフェへ至る、西部開拓ルートのこと。主人公のフリン達は、カンサスのレブンワース砦に赴任した騎兵隊員で、このルートの鉄道建設事業を妨害者から守ることが任務なのだ。

・エピローグは、走る列車の車輪のカットから始まり、フリンとハヴィランドの結婚式シーンだが、これが列車の中での司式。原題の意味が出てくる。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。