[コメント] キング・コング(2005/ニュージーランド=米)
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何故か、最後にタイタニックのネタばれもありますのでご注意を。
何だってあの超爬虫類的恐竜がうようよ居る熱帯島に毛ふさふさのコングがいたと思う? その答えがニューヨークの氷上の遊戯にあったと思うんだ。コングは雪や氷にひるむ熱帯動物ではなかったんだよ。つまり、スカルアイランドにコングがただ一匹いたのも、ニューヨークに連れてこられたのと同様、何かの拍子に来ちまったって事さ。きっとね。コングの年齢とかスカルアイランドの前にどこにいたとかなんてわかんないよ。
だからさー、(オリジナルとは異なり)本作でカール(ジャック・ブラック)が見世物として生け贄の儀式を演出したのはある意味間違ってなかったんだ。スカルアイランドの現地人は(他の並み居る恐竜ではなく)壁の“向こう”の一匹狼ならぬ一匹コングを恐れ、ニューヨークの現代人もカーテンの“中”の一匹コングを恐れたんだから。 カーテン(壁)に覆われるべきが人間かコングか、恐怖に生け贄を奉げるか、恐怖を見世物にするか、本物の儀式と偽物の儀式の違いはそれだけってことさ。
ジャック(エイドリアン・ブロディ)がおそらく感じたように、鎖につながれたコングには同情を覚えた。だって今回のコングは腰を下ろしてうな垂れてるんだぜー。これもクロロホルムかもしれないけれど、コングは人間との勝負に負けたことを認めていたのかもしれないなー。しかし、アンの偽者をあてがわれて終ぞ発奮し、恋敵ジャックにさしの勝負を挑まれたときは買って出た。人間には負けたが、恋の勝負はこれからってわけだ。 ところで、そのジャックの狙いが良くわからなかたぞー! コングを彼女のところに案内したかったのか? この気持ちは複雑だね。
そしてコングが美女を連れ去るのは決まって高いところ。そこなら邪魔は入らないでしょう。普通は。普通はね。だって飛行機って反則じゃないですか! 撃たれるコングは戦いながらもアンを安全なところに退避させ、コングを気遣うアンに弱り目を見られまいとする。そんなコングの最期の必死な遠吠え。 ここは泣いたぜー。
今回の落ちていくコングは驚くほどに「タイタニック」のデカプリでしたなー。て言うか、もしかしたらキングコングってタイタニックの元ネタ? んな訳ないか。でも、このシーンはこっちがパクったとみた。
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さて(急に普通の口調になりまして)、総括しますと、本作はオリジナル(1933)の朴訥コングのなかに1976年のヒューマンコングを交えた感じ。 PJ監督は欲張りすぎたように感じるけれど、この監督にしか出来得ないレベル。 俳優陣は素晴らしかった。特にナオミ・ワッツのほとんどCG相手の一人芝居ながら感情あふれる演技はすごい。ジャック・ブラックの野心家もはまっていた。そして、エイドリアン・ブローディとトーマス・クレッチマンの「戦場のピアニスト」コンビは今回もキャラがダブっていたけれど安定感抜群でした。
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