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[コメント] ニーベルンゲン 第二部 クリームヒルトの復讐(1924/独)

二部も火の燃えさかり具合が見事なもの。上映会場の市長が河村某ならリコール運動が始まるところだろう。火事は『』が、槍投げの見事な刺さり具合は『蜘蛛巣城』が想起される(コメントは一・二部通し)。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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全滅の物語がドイツの国民的叙事詩だった時代なのだ。しかもこの神話、忘れられていたものが当時復活している(ちょうど大政奉還で天皇制が復活したように)。ニールベルゲンは民間出身だから国民的な神話なのだろうか、しかし大して強調されることもない。森深い描写や魔術の類は他国の神話並でどうということもない。

この神話はアイスランドからオランダ、ハンガリーまでヨーロッパ横断的であり、これが色んな軋轢を生んだ訳だが、映画にそういう視点は余りない。ただ興味深いのはフン族との交流で、当時は東ヨーロッパまで進出していた由。アッティラ王はサイレント系のすごい目玉で、本能寺で狂った信長みたいで味があり、失われたフン族の蛮刀と丸盾の人海戦術の戦闘は面白い。そして「砂漠の民に客人は神聖」と語る彼等の野蛮は公平にも強調されない。あくまでゲルマン魂による自滅が強調される。

片目呼び出しての完全武装での大宴会はピリピリしていて盛り上がる。「私はジークフリートとともにすでに死んでいる」と語る『メトロポリス』系列の無表情が本邦アニメまで想起させるクリムヒルトのマルガレーテ・シェーン。対するは「復讐は愉しいか」と捨て台詞の片目のハゲネハンス・アダルベルト・シュレットウ。ゲルマン魂の対決は全滅に至る。平家物語みたいなものか。こんなものを国民に捧げてどうするんだろうと思うのだが。冒頭に「ドイツ国民に捧ぐ」と書いたシナリオはラング夫人(ナチ党員)作で、ラング(ユダヤ人)はアメリカ亡命のとき彼女に連絡も取らなかったとされている。

その他描写では、数名を真正面か真横を向かせて撮る群像シーンがたびたび現れ、アンゲロプロスを予告しているようないいショットだった。奴隷たちが二列に並んで水に浸かって橋をつくり、下船する貴族を歩かせる件が異常に印象的。使い回しなのだろうが半円形のアーチが多用され、いい構図をつくっている。

(評価:★3)

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