状況が理解できないまま恐怖に巻き込まれる。だからこそ人はパニックに陥る。考える暇も与えられず一気に恐怖の渦中に放り込まれる怒涛の展開。ものすごい臨場感。

そして中盤にかけては人間の集団心理の恐ろしさ。歩行者たちに車を奪われる、フェリーの出発間際の大混乱。秩序も理性も喪った人間の秘めた愚かな本質。

この路線で最後まで物語を進めてくれたら、どんなに傑作になっていたことか。フェリーがトライポッドに転覆させられて以降、一気につまらなくなる。

まず長男ロビーの行動が腹に落ちない。なんであんなに戦いたがるのか？あのメンタリティは日本人には共感しづらい。ティム・ロビンス演じる地下室の男の位置づけもよくわからない。最初はレイチェルを狙う異常性欲者なのかと思った。宇宙人と戦おうとすることで、トム・クルーズと対立する存在として描かれていたが、それではロビーと立ち位置が被るのではないか。宇宙人の造形もあまりに陳腐で脱力。姿なんか見せずに、見えざる敵のままにしてくれたほうがずっと良かった。家族全員が無事再会するラストも安易。ロビーがなんの説明もなく生きていたのも端折りすぎ。そして宇宙人が滅びた理由。帰結自体は興味深いが、ナレーション一発で説明するとは言語道断。そこを物語で表現してくれなきゃ。

前半満点、後半グズグズ。が、前半あまりに素晴らしかったので★４。