[コメント] バタフライ・エフェクト(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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よく聞く言葉でいうと「人生の岐路」。「あの瞬間にこうしておけば人生変わったかも」っていう瞬間に戻ってやり直せるっていう、誰もがどこかで望んでいる妄想の物語です。
こういった「パラレルワールド物」って昔からよくある話で、近年でも『ラン・ローラ・ラン』なんかがそれなりに好評を得たりしています。で今作が過去の作品との差別化を図っているのは、その岐路のポイントが「トラウマ」にあるってことで、これが結構下衆な興味をそそってくれるわけです。しかも全体的にはどこかコミカルなトーンが漂ってるから(ベッドが逆になってるところとか下らなくていい)、非常に気楽に人の不幸を覗き見ることができる。重たい話を楽しく観られる。これは結構褒められることだと思うんですよね。
ただ当然ながらこの気楽さは同時に欠点でもあります。結局エヴァンは最初の人生でもう既にケイリーのことは忘れて暮らしてる。もちろんトミーやレニーのことも。それがケイリーに自殺なんかされちゃったから、急に焦って「みんなが幸せなら」とか言い出すわけで、そりゃハッキリ言って後出しジャンケンじゃないですか。「引っ越してからもずっと君の事を想っていた」とかじゃないから切実さが足りないんですよ。だからラストで「君と親しくならない人生を選んだ」とか言われても「元の人生と結果大して変わらんじゃない」なんて思えちゃうわけで、設定において人の繋がりが希薄なんですよね。
また様々な不幸のパターンにおいて「やむを得ず」感が足りない。殺しさえしなければ刑務所にだって入らずに済んでるし、ポストにさえ近づかなければ手足は吹き飛ばずに済んでる。結局失敗してるのはいつもエヴァンであり、そこの間抜けさも切実さを削ぐ一因になっている気がします。ていうかもう一回そこをやり直せばいいのに。
まぁだから決して「哀しい物語」として心に響いてきたりはしないんですけど、それでも2時間という時間を飽きさせず、しかも自分の妄想が叶うようなお話で観せてくれたので結構満足でした。面白いのは確かに面白い。過去に戻るシーンのCGも良かったし。
ただねぇ、予告編では「最後に残されたのは、神にも許されない行いだった」みたいに言ってたんだけど、女の子に悪態吐くっていうのはそんなに悪い行いなのでしょうか。いや、いいことじゃないんだど、そのコピーは誇大広告だと思うよ。
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