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[コメント] ボーン・スプレマシー(2004/米=独)

このスピード感! それを強調しつつ、展開にわかりにくい部分がない丁寧さ。子供騙しではない、大人の鑑賞に堪えうる良質なアクション映画だ。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 前作『ボーン・アイデンティティ』同様、大人の鑑賞に堪えうる良質のアクション映画。続編で失敗するというジンクスには陥っていない。

 前作ではジェイソン・ボーンが自らの存在を追い求める姿を中心に話を展開させたが、続編ではそのテーマも追求しながらも、愛する女性を失ったことが動機となり、トレッドストーン作戦についての調査を徹底的に行なっていく。前回は巻き込まれ型だったものが、今回は自発的に動き始めている。その点から、ストーリー展開は目まぐるしく動く。次から次へとヨーロッパ大陸を飛び歩く急ピッチな展開ではあるが、それによって観客を混乱させることなく、逆に抜群のテンポの良さで飽きることがない。非常に短く区切られたワンカットワンカットがしっかりとリズムを作り出している。カーチェイスに関してもカット割によって臨場感や迫力が生まれ、前作同様カーチェイスを売りにしていることだけはある。

 前作でジェイソン・ボーンというハマリ役を得たマット・デイモンだが、先日観たばかりの『オーシャンズ12』ではお惚け役がお似合いに感じたが、ボーンのようにあまり口数の多くない役になると一変して知的な印象が強くなる。また、彼を囲む脇役たちが渋いながらも豪華。そのキャスティングがこの映画らしく感じる。正義感の強い女性を演じさせると妙に説得力があるジョアン・アレン、『リディック』に続いて個性的な役を選んだ灰汁の強いカール・アーバン、貫禄を感じさせるベテランブライアン・コックスといった面々が頑張っている。

 今回、ラストシーンで、前作では知らされることなかったボーンの本名や出生地が明かされるが、それを知らされた彼に悲しさを感じる。知らされたことにより更なる葛藤が心に生れるであろうし、自分自身をジェイソン・ボーンとして自覚し始めている最中で本名を知ることに複雑な思いが絡むだろう。前作と同じモビーによるエンディングテーマが流れているクレジットの際、ボーンを覆う悲しみのことを考えて、さらなる続編が製作されるのが楽しみになってしまった。

(評価:★4)

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