[コメント] 王手(1991/日)
将棋がどうこうというよりも、好き勝手に生きる古き良き男のロマンがこの映画の主題だろうし、そういう男を魅力的に演じきった赤井英和は、豪快でかっこよかった。時に「かなわんなあ」と思っても、やはりそばにいたい男だ。
ただ、もう少し将棋そのものにもっと踏み込んで、対局の場の空気の緊張感を出して欲しかったとも思う。ずい分前に県レベルの大会の決勝で時計係をつとめたことがある。(10秒、20秒、いち、にぃ、さん、しっ、・・・と読むあれね)
その時の対局者は後に全国優勝もしたが、それでもプロとははっきり差がある。それでもその決勝の対局の時は、両者の気迫がぶつかりあい、将棋盤を見つめる眼差しをはじめ、周囲の空気をヒリヒリさせ、息をするのもはばかられるような緊張感があった。
そういう意味では、真剣師の方はともかく、プロや奨励会員たちの指し方が今一つ美しくないのも気になったところ。
真剣師がプロアマ戦でプロを連破して最後には名人まで打ち破る、というのはありえない設定だし、奨励会で勝ちにこだわる奨励会員たちの必死な姿はそれとして描いているが、ちょっとこの映画の中では説得力がないというか、唐突な雰囲気がある。ちょっと聞きかじった将棋の世界、プロのそれと真剣師のエピソードを軸につくっているのだろう。
ただ、これらはいずれも細かいことで、全体としては、なつかしの大道詰将棋とか、チラッと見ただけでも記憶している名人の記憶力のすごさとか、扇子を小道具にしたセンスの良いユーモアは存分に楽しめた。
なんといっても、名人が扇子で蚊を殺したシーンには爆笑した。
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