子猫だ、ということはそれを引き取った娘だけが知っているのかもしれない。

美貌だけれどあまり廻りが見えなくて、自分にとって都合のいいことだけを重視する娘。貧しい家に育ったせいか物事をペシミスティックに見、仲間に救いを求めることを拒む娘。ムードメイカーとして皆の関係を平和に導いてきた結果、自分がいつも損をしてきたことにすら気づかなかった娘。それに、軽いノリでいつもはしゃいでいただけの双子の姉妹。物語は進むにつれ深刻さを増し、冤罪とはいえ逮捕者すら出てしまう。

みんな懸命に生きているのか。自分に猫が廻ってきて、辛い思いを味わうことを無意識に避けているのではないのか。仲間を信じ、ふたりで生きてゆく道を選んだ少女たちは幸福を手にできるのかどうか、俺には判らない。いや、そのふたりに限っては他人の目にどう映ろうと幸福であるのかもしれないのだが…。