『ビリー・ワイルダー』の映画はどれも舞台劇のよう。 これも３幕ぐらいの芝居だし。 脚本家出身の限界といっては言い過ぎかもしれないが（オマエハナニモンダと自分でも思うし）自ら限界線を引いてしまった人という感じもする。それを職人気質と呼ぶのかもしれない。良くも悪くも。 なんか映画の芯（というものがあるとすれば）から微妙に外れてるような気がして仕方がない。 よく言えば脚本が出来過ぎてるからなのか。 わるく言えば意外なのは物語だけだからか。 その意外な物語は既に脚本の上で緻密に書かれている。小道具の扱いもト書きも・・・のだろうと想像できる。 よく出来た脚本のことに考えがいくのは映画にとって欠点じゃないか？ ナマの舞台なら脚本が良いなんてことは最低限の条件で生命線だから、三谷幸喜が憧れるのもよくわかるけど。 だから『ディートリヒ』が舞台であの変装をやったら迫力満点だろうなと思う。