コメンテータ
ランキング
HELP

tredairさんのあらすじ: 投票数順

★4シェフとギャルソン、リストランテの夜(1996/米)イタリアからアメリカンドリームを夢見て渡米してきた兄弟。ふたりはニュージャージーの田舎町で、小さなイタリアンレストランを開業している。英語はちょっと苦手だけれど抜群の料理の腕を持つ兄(プリモ)は、天才であればこそ祖国の本格イタリア料理に固執。決してアメリカ人に迎合した料理は作らない主義。けれどもそれでは味音痴のアメリカ人に受け入れてもらえるはずもなく、店の経営は悪化するばかり。そんな経営難の状況にいつも頭を悩ませているのは経営担当の弟(セコンド)。彼は英語も堪能で調子がよく、そんな兄の頑固さに腹を立てつつも、それでもやはり彼の才能を信じている…。おいしそうな食べ物が次々に出てくる暖色系の109分。[投票(2)]
★5八月の鯨(1987/米)アメリカ・メイン州の小さな島にある別荘。人生のほとんどを一緒に過ごしてきた年老いた姉妹、今や盲目のリビー(ベティ・デイヴィス)と若くして夫に先立たれたセーラ(リリアン・ギッシュ)は、夏のあいだはいつもそこで過ごしている。近所に住む老大工のジョン(ハリー・ケリー・ジュニア)、元ロシア貴族のマラノフ(ヴィンセント・プライス)、幼なじみのティシャ(アン・サザーン)を含めた5人の老人だけで織りなす、ほんの二日間(一日半?)の物語。リリアン・ギッシュはこの遺作でカンヌ映画祭特別賞を受賞し、ベティ・デイヴィスはこれを100本目の出演作とした。陽光きらめき潮風かおる91分。[投票(2)]
★5ヘアスプレー(1987/米)1962年のボルチモアを舞台とした、オールディーズがガンガン流れる(ちょっとだけ下品な)ミュージカル。『ピンク・フラミンゴ』で大人気!みんなのアイドル、ディヴァイン様が出演した最期の映画であり、また、今ではすっかりやせてしまった リッキー・レイクのパッツンパッツンな笑顔が見られるデビュー作。実際にあった黒人差別事件を題材の一つとして、当時のアメリカ文化や若者像などが「カレンズ・ショー」という架空のダンス番組を軸に描かれてゆく。ソニー&シェールのソニー・ボノやブロンディのデボラ・ハリー、ザ・カーズのリック・オケイセック、ルース・ブラウンなど、(まるでアメリカ版三谷幸喜というか竹中直人というかの)多彩な出演者も見どころの94分。[投票(2)]
★5今宵限りは(1972/スイス)「毎年5月16日、聖ネポムクの記念日に、召使たちのための宴会が開かれる。その日は夜中の12時まで、主人と召使いは立場を変えるのである」という字幕から始まる(特に物語はない)夢幻の1時間30分。日ごろの主従関係を逆転させ、貴族たちが召使いのために延々と宴会芸を見せるというただそれだけの話。けれどもそこにはシュミットならではのブラックユーモアや徹底した美意識もしっかりつまっていて、原題の「Heute Nacht oder nie」は邦題では「今宵かぎりは…」と曖昧にしてあるものの、「今宵こそは、さもなくば無」とも読めるのだそうです。リズムがかなり緩慢なので、体調や状況によっては熟睡できるでしょう。聖ネポムクは、場所によってはワインの神様でもあるとのこと。[投票(2)]
★5ラ・パロマ(1974/スイス)娼婦であり歌姫でもある(まるで『嘆きの天使』等でのマレーネ・ディートリッヒを思わせるキャラの)ラ・パロマと、彼女に惚れ込みプロポーズする(つまり例のニワトリ教授を思わせる)青年貴族イジドールの不思議な恋物語。バリバリのメロドラマではあるが、へんてこなカメラやあやしい演技、突然はじまるオペレッタなどデカダン風味の見どころ(つまり眠りどころでもある)がいっぱい。独特の、腐りかけの桃のような色香が全編を通し気だるく漂い、最後まで起きていられれば「映像の魔術師」ダニエル・シュミットを堪能。できるだろう1時間50分。眠れぬ夜にオススメします。[投票(2)]
★5自由の幻想(1974/仏)1808年、トレド。フランス軍に占領されたスペイン人が「自由よくたばれ!」と叫んでいるところから映画は始まる…。と書くと、何やら重い史劇か何かかと思われそうだが、実はこれは二人の家政婦が公園のベンチで読む物語の一場面である。…となると、今度はこの二人が主人公なのかと思われそうだが、これがまた関係なく、同じ公園内にいる他の少女に視点が移ってゆく…。を104分間みっちり繰り返す、かなりシュールでブラックな連想ゲームとショートギャグ(と私は思っている)の数々。とは言えブニュエル翁なので、一筋縄ではいきません。彼いわく「いつも私たちがまさに目前に持っているものを見ることを怠る軽薄さなのだ。」[投票(2)]
★4エル(1952/メキシコ)敬虔なカトリック教徒で一見とても紳士的、40過ぎても女を知らない大金持ちのフランシスコ・ガルバン。彼はある日、素晴らしい足を持つグロリア(ちなみに、婚約者も持ってます)に一目ぼれし…。「元祖ストーカーもの」と言うべきか「ドメスティックヴァイオレンスもの」と言うべきか。嫉妬心や独占欲が強いあまり、最愛の女性に対する疑念に取り憑かれ妄想に苛まれる、寂しくおかしいパラノイアの物語。92分。ブニュエルにとっては「たぶん、どの映画よりも自分を表現している。」そうで、「彼は自分の精神と原則に忠実な男だ。」とも語っている。[投票(2)]
★4I love ペッカー(1998/米)ペッカーは、ママにもらった安物のカメラで、やはり親友が万引きしてくれたフィルムを使い、地元ボルチモアの愛すべき(自覚はないようだがかなり変な)人々の写真を撮ることに夢中。家族とも仲よしだし恋人の仕事ジャンキー、シェリーともラヴラヴだし、ご機嫌な毎日だ。ところがある日、バイト先の店を使ってその写真を展示したところ、ニューヨークのアートディーラーの目に留まり一躍アート界の新鋭?へと祭りあげられてしまう…。ジョン・ウォーターズの半自伝とも言われる(…って、これが自伝だったらちょっとアレだよな、な)87分。舞台となるボルチモアは監督の生まれ故郷で、彼の熱狂的なファンのあいだではニューヨークよりもありがたがられている。なんてね。[投票(2)]
★5弘高青春物語(1992/日)キーワードは「旧官立弘前高等学校」、それのみ。清順も以前そこで学んだことがあるという同校の記録や同窓生たちの(熟成発酵された)思い出を、その頃の世相も交え奇想天外に甦らせたジャンル不問のビデオ作品。同窓会のために制作されたというややプライベートなものでもあるため、ある意味、清順ワールドの根幹となる素の部分も堪能できるかも。な、恋も友情もケンカもリビドーも怪談も戦争も革命もイデオロギーも芸術もつまった、当時の若者たちが見聞きし体験した青春の全てがある56分。[投票(1)]
★2Kissing ジェシカ(2001/米)熱心なユダヤ教徒の家に育ったジェシカ・スタインは、最近どうも恋に行き詰まっている。完全に思いを断ち切れずにいるモト彼は(なんと)職場の上司だし、出会う男たちときたらもう、とんでもない奴らばっかり。だからといって家族が勧めてくるお見合にもうんざりだし素敵な人と知りあったと思えばすでに売約済みだし…。そんなある日、ジェシカは新聞の恋人募集記事に、大好きなリルケの詩を引用したものを発見する。 主演のジェニファー・ウェストフェルトヘザー・ジャーゲンセンは、自らが演じることを前提に共同脚本を執筆したとのこと。21世紀版スタローン?!なふたりによる、96分のニューヨーク恋物語。 [more][投票(1)]
★4ストリート・オブ・ノー・リターン(1989/仏=ポルトガル=米)フランスにおいては「戦後アメリカの三大巨匠の一人」とも称されているらしいサミュエル・フラーの遺作。黒人と白人の人種対立が激化する架空の港町を舞台に、数年前の事件が原因でホームレスとなった元・大人気シンガーが繰り広げる愛と復讐の物語。シルエットと声のみでフラー本人も出演している他、看護婦役として妻が、唯一の子役として実の娘が出演しているという、ある意味で二重の「ファミリー」が登場するアクション活劇メロドラマ。 フラー曰わく「メロドラマとはアクションのあるドラマのことだ。」とのこと。[投票(1)]
★5狼の挽歌(1970/伊=仏)一匹狼の殺し屋ジェフ(チャールズ・ブロンソン)が、自分をはめた裏社会に生きる人間たちに悲痛な闘いを挑んでゆく。彼が唯一愛したヒロインを演じるジル・アイアランドは、実生活でも死別するまでブロンソンの妻であったとのこと。黄色い太陽が網膜に焼きつく、青空いっぱいの都会の復讐劇。日本では「うーん、マンダム」と彼がCMに出ていた頃に封切られた作品だとか。冒頭のカーアクションやジルのセクシーな悪女っぷりも見ものの120分。[投票(1)]
★3マグダレーナ 「きよしこの夜」誕生秘話(1989/独)20数年に及ぶナポレオン戦争の結果、すっかり荒みきってしまった小さな村。新たに着任したばかりの若き神父モアは、裏で結託する修道院長や村の権力者の妨害にも負けず、愛と信念で布教に励む。そして、その過程で娼婦に身を堕としてはいても純粋無垢なマグダレーナと知り合い、互いに恋におちる…。イエスによって悔い改め聖女となった娼婦「マグダラのマリア」をモチーフとした89分の純愛物語。話の横糸として、「きよしこの夜」の歌が誕生するまでのエピソードが実話をベースに描かれている。ちなみにこの映画が公開された頃のナスターシャ・キンスキーは、まだ「ナスキン」ではなく「ナタキン」と呼ばれていた…。<いつから呼び方が変わったのだろう、とたまに悩む。[投票(1)]
★4ミスティック・ピザ(1988/米)コネチカット州の小さな漁港町、ミスティック。秘伝のソースが自慢のピザ屋「ミスティックピザ」でバイトするのは、セクシーが売りで玉の輿ねらいのデイジー(ロバーツ)、式から逃げだしそのまま結婚延期中のジョジョ(テイラー)、優等生ながらイケナイ恋をしてしまうキャット(ギッシュ)の仲良し3人組。ポーランド系アメリカ人であるという裏テーマも持つ?3人が織りなす恋の行方やいかに…。 ジュリア・ロバーツリリ・テイラーにとっては本格的な主演デビュー作であり、マット・デイモンにとっても(1シーンのみ出演の)正真正銘のデビュー作。公開時の「ぜぇ〜ったいHAPPY(し・あ・わ・せ)になりたい!」というコピーが少々恥ずかしかった103分。 [投票(1)]
★4幼なじみ(1998/仏)様々な文化的背景を持つ人々や労働者でにぎわう港町、マルセイユ。16歳のクリムは、幼いときからいつも一緒だった黒い肌のベベと自然に恋におちる。けれど、ふたりで暮らしはじめたばかりのある日、近所でサラエボ移民の女性を被害者としたレイプ事件が起こり…。自ら生まれ育ったマルセイユのエスタック(フランス屈指の工場地帯)にこだわり、そこを舞台とし、かつ同じ俳優ばかりを使っての作品を撮り続けるゲディギアン監督。同じ土地と同じ役者へのこだわりに共感したのか、パンフレットには寅さんシリーズでおなじみの山田洋次から「我が友へ」という熱いメッセージが寄せられている。ピアノのおだやかな音色に包まれた113分。[投票(1)]
★5エレンディラ(1983/独=仏=メキシコ)鬼のような祖母と二人で暮らす少女エレンディラは、ある日過失で火事をだす。そして、灰にしてしまった祖母の全財産を償うため、売春婦として砂漠を旅することになる。やがて、その旅の途中でユリシスという少年と出会い…。 ノーベル賞作家ガルシア=マルケスが、自ら脚本も手がけた作品。ちなみに原作のタイトルは「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」で、マルケスは最初から映画化を想定しこの中編をしたためたとのこと。ラテン文学特有の魔術的リアリズムが(チラチラ)顔を出す1時間45分。[投票(1)]
★5ざくろの色(1968/露)カフカス(黒海とカスピ海に挟まれた地域で、一般的にはアルメニア、グルジア、アゼルバイジャン各国を指す。コーカサスと呼ばれることも多い)の文学史には必ずその名が登場するという18世紀の吟遊詩人、サヤト・ノヴァ。彼の数奇な生涯にオマージュを捧げ、彼の残した詩の断片をちりばめ制作された色彩豊かな73分。詩人の幼年時代から始まり、創作活動や悲恋、信仰、老いなどを経て最後は死に至るまでを、8章の絢爛な映像詩で構成してある。本作は、当時の政治状況などから公開まで何年も費やされたそうで、監督のパラジャーノフ自身も弾圧を受け何年も投獄されている。ゴダールの『パッション』は、この作品に影響を受けた作品であるとのこと。[投票(1)]
★4黄金時代(1930/仏)自由の幻想』同様に、場面ごとにある「ちょっとしたもの」が次の場面につながる連想形式。つまり、大きな流れとなる話などありゃしない、(それを含めて)ブニュエル風味満載のモノクロ60分。 [more][投票(1)]
★5不良少女モニカ(1952/スウェーデン)不良というよりもむしろ享楽的で自己中心的、けれども言いようのない魅力を持つ野性的な少女モニカと、青年らしい生真面目さと優しさを持ちそこそこの暮らしをしつつも孤独を抱え込むハリーが出会い、恋におちる。そして彼らはともに旅をし一夏を過ごすのだが…。この映画で(たぶん)デビューしたハリエット・アンデルセンは、その後もベルイマン作品にしばしば出演し続けている。ので、もし「今からベルイマンをごっそり見るぞ!」と思う方には(その後の楽しみを増やすうえでも)最初の一本としてオススメ。ややビターな北欧の青春。その美しくも短い夏をとらえたモノクロの92分。[投票(1)]
★5セコーカス・セブン(1980/米)60年代末に反戦運動を通して知りあった7人の男女が、10年ぶりのある週末に久々に再会するというそれだけの話。撮影期間1ヶ月、制作費12万ドル(当時のハリウッド映画における1日分の制作費)で、出演者も監督の友人や無名の俳優ばかり。衣装は自前、ノーメイク、移動撮影ナシ、かつ、脚本や出演とともに編集もこなした監督は、レンタル編集機に付いてきた解説書と首っ引きでフィルムをつないだとのこと。そのようなショボいスタートではあったが口コミで話題を呼びロングラン。その年のロサンゼルス映画批評家協会最優秀脚本賞を受賞し、「タイム」等の各雑誌が選ぶベストテンにも選ばれる。後に『再会の時』としてハリウッドにもパクられた、少しトウが立った世代の106分の青春映画。[投票(1)]