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[コメント] スミス都へ行く(1939/米)

この映画の良さが、サッパリわかりません。私が正義なのか、 採点の高い皆様が正義なのか、果たして正義って何なのか、 考えてみました。(『サイン』のネタバレあり)
Linus

先日、去年NHK・教育テレビで放送されたETV2002『サダムはなぜ 敵となったか』の録画したビデオを今頃見た。はっきり言いまして、 私はノンポリで、何故ブッシュがイラクに戦争をしかけたのか、 よくわからなかったし、フランスが反戦を貫いた理由もよくわから なかったが、このETV特集は良くできていて、イラクVSアメリカの 関係をわかりやすく教えてくれたのでした。

何故、アメリカは物事を二項対立で考えるのか、昔から不思議だったが、 この番組で北海道大学の教授が「最初のアメリカ人(独立国家を 形成した人々)というのは、ピューリタンの人たちで、 世界対アメリカという図式で自分たちを位置づけ、アメリカという 国家は、キリスト教社会を根本から改革する善なる社会で、 ピューリタンが旅立ってきた社会(=旧世界)は、悪の社会と みなした。それが未だに二元論として根強く残っているのではないか。 (要約)」と言っていた。

そう説明されると、ヨーロッパ及びアジア圏の人間から見ると、 アメリカ人の短絡的な思考が、更に手に取るようにわかるのである。 考えて見て欲しい。アメリカ映画というのは、西部劇の時代は、 「インディアン」を、白人至上主義(差別)時代は、「黒人」を、 冷戦時代は、「旧ソ連」を、ベルリンの壁が崩壊すれば、「サイコ(精神障害者)」を敵にして、映画を作ってきたのである。 こんなとこでネタバレを書いてしまうのは、申し訳ないが、 敵がいなくなったアメリカが、苦肉の策で出したモノは、何だったか。 「へなちょこ宇宙人」である。そう『サイン』の敵である。 あんたら、なめとんのか〜! と、マジで映画館でブチ切れました。

さて『スミス都へ行く』である。この二元論(善VS悪)で、物語が 進行され、戦前の映画だし、「一寸法師」とか「桃太郎」のように 勧善懲悪な御伽草子(あるいは昔話?)と考えればいいのかなぁ…と 思ったけど、私、別にもう子供じゃないし、全然面白くない、と 正直に書こうと思った次第である。(しかも2点つけてる人3人しか いないし。相当なヒネクレ者なのかなぁ、とちょっと世間様とズレを 感じてます)

昔、読んだ本によると、子供の本に何故勧善懲悪な物語ばかりが 存在するかと言えば、一つの人格に「善と悪」が二つあると、 子供は混乱するそうで、だからわかり易く、良いことと悪いことを 二つにキッパリとわけてあげるそうである。そうやって、子供は混乱 せずに、善と悪を理解し、人格を形成していくそうである。 だから、子供の本が二項対立であることに異論はないのだが、 大人が見る映画が、二元論であることには、空恐ろしさを感じる。

しかも映画で度々挿入される、議長の顔。スミスが発言すれば、 口元をほころばせ、悪の代表であるペインが喋れば、顔を強ばらせる。 意図的に、見ている人間にスミス=善、ペイン=悪と植えつける映像に、 「策略家はテーラーでもペインでもなく、監督アンタだよ」と 突っ込みいれたくなった。

もう一つ映画に対し言えば、スミスが出した提案。「子供たちの為に、 キャンプ場を作り、かかったお金は子供たちの手によって返済して もらう」。果たしてこれは、理想(善)なのだろうか? 現在、国家も 地方自治体も財政難なのだから、どっかの議員さんでも、理想に燃え、 「公園は主に子供が遊ぶ広場なので、かかった費用は、現在10才未満の 人たちが二十歳になったら、公園税として払って貰います」という法案でも 出したらどうだろうか? たぶん、知恵がついた子供たちは、 怒り狂うこと必至。つまり、これはスミスの理想=エゴなのである。 エゴとは、善か悪かと問えば、悪である。スミス自身が、善と悪が 混在している矛盾多き人間なのに、こんなに色んな人が集まった世の中を、 善と悪に分けようとするのは、到底無理な話なのである。

私がまだ、高校生だった頃、世界史の教師が「あなたはアメリカが 好きですか。ソ連が好きですか」と挙手させた。時代はまさに冷戦 時代で、クラスでソ連が好きだと挙手したのは、私一人だった。 私は、教師やクラスメートから、「何故好きなの?」と一斉に 攻撃され、頭の中の漠然とした考えを言語化できなくて、悔しい思いを したことを覚えてる。今だったら、その教師に「アメリカが 好きかソ連が好きかという質問は愚問だし、どんな国家も、 為政者が、良い方向や悪い方向に物事を進めていくのであって、 そこに住んでる人々は、みんな大らかで、良い人もいれば悪い人もいる わけだし、クラス全員がアメリカに挙手してるから、それに 抗うためにソ連に挙手しました」と言ってやる。

と、ここまで書いて、果たして、私のレビューは正義なのだろうか? とあえて問うてみる。これは、私の意見であって、正義=絶対では ないのである。あえて言えば、真理=数多あるモラルの一つ、くらいの 価値観でいいのではないだろうか? 自分を絶対(パーフェクト)と する考え方は、私は受けつけない。破綻しまくり矛盾も多く、 そこに葛藤が存在するのが、人間であって、イコール映画だと思って いるので、やっぱりハリウッド的思考は、苦手なのかもしれない。

(評価:★2)

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