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[コメント] プレッジ(2001/米)

ジャック・ニコルソンだからと言うより、どうあってもジャック・ニコルソンとしか言えないくらいに、ジェリーという人物には物語的な“役割″だけがあって、具体的な細部としての人間的な内実や来歴は何も描かれない。この映画の中で一番不穏なのは、その中心にいるこのジェリーという人物自身のもとからの「空白」ぶりではないのか。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヘレン・ミレンに問詰される場面はなんだったのか。

真犯人がいたことは確かだったらしいが、しかしそれが誰だったのかは判然とせず、大体判然とさせる様にも描かれていない。

ありていな言い方をすれば、「神のみぞ知る」話なのだが、生憎人間的な内実や来歴をもたない彼は、その神に、言わば見放されている。「神」という、偶然を必然化する物語的な概念の装置、その効用に見放されている。

しかし、それがこと「映画」になると、不思議に悲劇的とばかりにも見えなくもなるのは、やはり「映画」の目はもう一つの、即ち全てのものをあるがままに見つめるところの、自己抹消的な〈神〉の目でもあるからかも知れず。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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