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[コメント] 武士道シックスティーン(2010/日)

年齢を経たからこそ温かい目で見守れる16歳の迷える子羊たち。愛らしい佳作。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







友情物とスポ根物がこの映画の縦軸と横軸であるわけですが(どっちが縦軸でどっちが横軸かはさておき)、私は斜め軸として「娘と父親の物語」を読み解きます。

この映画に出てくる母親は死んでいるか、存在感が無いんです。だって古村比呂だもん。 しかし父親は、娘たちにとって重要なファクターとして存在してるんですね。

成海璃子ちゃんは父親に剣道を叩き込まれ、板尾さんを父に持つ北乃きいは負けを恐れて逃げ回る。 この二人の少女の転機は、父親の転機とリンクするのです。 舞い戻った板尾さんは「好きなら逃げるな」と言いながら新しい発明(=新しいチャレンジ)を見せ、小木茂光が「すまなかった」と娘に折れることで成海璃子ちゃんは折れる心を知るのです。

話自体はあだち充のマンガみたいですが、あだち充のマンガは親の影響力がほぼ皆無に近いんですね。そこが大きく違う。 有形無形の親のサポートを無意識のうちに受けているという点で、16歳という設定は絶妙だと思います。 また、親自身が変化するという点は現代的だと思うのです。いやまあ、古くから「頑固オヤジが心を開く」みたいなパターンはありますけど。

映画自体の完成度はそれほど高いとは思えないのですが、私も一緒に観ていたヨメも不覚にも泣いてしまったんですね。 しかしそれは、北乃きいに感情移入したわけでも成海璃子ちゃんに感情移入したわけでもなく、娘の成長を見守る親の視点で涙したのではないかと思うのです。 トシくったな。

注釈

北乃きいが呼び捨てで成海璃子が成海璃子ちゃんなのは、我が家での呼び名がそう固定されているだけで、深い意味はない。板尾さんも同様。

(10.04.25 テアトル新宿にて鑑賞)

(評価:★4)

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