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[コメント] ロシュフォールの恋人たち(1967/仏)

くっだらねー!楽しー!ゆるーい!たーのしー!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シェルブールの雨傘』製作45周年記念のデジタルリマスター版にて劇場鑑賞。 デジタルリマスターはいいけど、上映もフィルムじゃなくてデジタルみたいね。前の方で観てると少々画質が粗い。ま、いいけど。いずれにせよ、スクリーンで観られたことに感謝。

私は長いことミュージカル嫌いで、今ではそんなこともないんですが、何が嫌だったんだろうと考えると、唐突に歌い出す意味や必然性ということよりも、その話の薄っぺらさと「どうだ、すごいだろ」的な過剰なサービス精神が嫌だったのではないかと。

考えてみれば話が薄いのは当たり前っちゃ当たり前で、多くの場合歌い踊る行為は「明るく楽しい」場面であり、そんな陽気な状況で深遠なテーマめいた何かが発生するはずもない。 それが許せるようになったのは私が年齢を経たからなのかどうか分からないが、少なくともこの映画に関して言えば、「恋人探し」に終始するストーリーは「くだらない」を通り越して「くっだらねー!」と笑い飛ばせる脳天気さがある。その陽気さが心地よい。だって、「理想の女性を探してる」みたいなことをカフェで勝手に歌い出して、周囲の客もふんふんって聴いてるんだぜ。そりゃ面白いよ。

そして、「どうだ、すごいだろ」的な過剰なサービスですが、本作にも出演しているミュージカル界の歌のお兄さん=ジーン・ケリーのMGM全盛期「どうだ、すごいだろ」的アクロバットダンスは、「うん、すごいね」とは思うのですが「楽しいね」とは思わないのです、私は。 それが、本作では「楽しい」んだ。 なぜなら「ゆるい」から。 そんなにビシビシ踊りが決まってるわけじゃない。ゆるーい!の。それが楽しいの。 だって、何の状況説明もないまま、車から降りる度にチャキリスが無駄に踊ってんだぜ。そりゃ面白いよ。

この映画全般が、作り手側が楽しんでいる感じがするのです。 ジャック・ドゥミ念願のオールスターキャスト本格ミュージカルだそうで、アフレコじゃなかったらジャック・ドゥミの笑い声が録音されてたんじゃないかと思うほど。 スイングするミシェル・ルグラン御大の音楽も楽しいし。

余談

まったく個人的な趣味を言えば、ドヌーヴ姉妹よりカフェの従業員が好み。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)プロキオン14 緑雨[*]

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