コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 深く静かに潜航せよ(1958/米)

エイハブ船長タイプのクラーク・ゲーブルがもっとやらかしてくれると盛り上がったのだが(原作はやらかすらしい)温い。日本海域に米潜水艦が出没という前提はそもそも本当なのだろうか、という疑問ばかりが残る。東京ローズ付き。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







42年豊後水道、米潜水艦は輸送船を発見するが日本側もアンテナを双眼鏡で発見、日本軍軍人はやたら視力がいいのだ、4・0とかあるのだ。駆逐艦にやられて海上漂流。このアーバンタイトルは戦闘シーンをスキップしてやたら軽い。

復讐する気満々の中佐クラーク・ゲーブルが経験買われて艦長で43年、真珠湾からナーカ号出撃。艦長候補の大尉バート・ランカスターは副艦長と指名されてスネるがゲーブルの嫁さんに亭主を頼むと云われて即座に前言撤回。さては惚れたなと思わされる。

艦長曰く進路は第7海域だが豊後水道は避けろ、海域は海の墓場と知っていてみんなビビる。潜って直ぐ撃つ新技法の練習ばかりして敵艦から逃げて艦長への疑念渦巻くが、タンカー護衛の駆逐艦モモを新技法で沈めて信頼を勝ち得るという当たり前の展開。プラモ撮影は安いが魚雷命中爆破だけはここも以降もよく撮れている。

第七海域突入して大船団、しかし艦長は潜行、副艦長は海図確認して豊後水道を目指していると知る。さては魚雷温存していたな、命令違反で軍法会議だと副艦長は詰め寄るが、一年前から考えていたことと艦長は水道行を艦内放送。ここは盛り上がる。艦員みんなビビって軍紀にかけろと副艦長に詰め寄るが、ここでは艦長は絶対と断る。やはり奥さんのせいだろうか。

艦員なぜ従うのか、そのモチベーションの描写がないまま憎き駆逐艦アキカゼ発見。輸送船撃破して対決、しかし故障で魚雷は発射されず相手魚雷が命中。ここはよく撮れている。顔アップ連続と沈黙、白煙と停電と振動、浸水と魚雷の下敷き。こういう描写は『Uボート』などに影響を与えたのだろう。残るは死んだふり戦法だと艦長指示の「遺体も浮かせろ」という偽装。この非情の手法がすごい。これ確認して日帝は撃沈と誤認。日本兵の発音がおかしい。

エイハブ船長タイプと判明した艦長は気絶して脳震盪、継続して意識を失うと軍医に忠告されるが内緒にしろ。副艦長は命令違反は明らかと帰還命令、指揮は私だ。艦長はそれが艦長としての初仕事かと嫌味を云い、艦員は二手に分かれて逃げて帰るのか論争と喧嘩。副艦長は退却を取り消すのだった。すぐに反省するタイプらしい。

ザックに入ったゴミ捨てしていた兵隊が潜行に取り残されてデッキで浸水しかかる件はスクリーンプロセス丸判りで迫力がないが、潜水艦のゴミって海に捨てるのだという学びがある。東京ローズのラジオ放送が艦内で受信されている。音楽の合間に「大日本帝国を代表して皆さんに戦う事の虚しさをお知らせ、今月も16隻撃沈」と、日本の戦績をアナウンスしている。さらに後半では偽装を信じてお悔やみ放送。このとき艦員の名前まで読みあげられて、あれはごみ袋からだ、拾われて位置を知られていた、なら次は大丈夫、敵はもう沈んだと思っているぜというのを、副艦長は再侵攻の動機にしている。

そしてアキカゼと最後の対決。副艦長は艦長と同じ手法を取り勝利。成長した副艦長を艦長は病床から悦ぶのだった。その後は蛇足。日帝の潜水艦とレーダー避けるためにお互い機関停止して至近距離を消音潜行、ここでは日本側の艦内も描写され、艦長は河村黎吉似。興味深い件だが、ただタイトルの意味はここなので付け足した具合だ。途中で浮上してこの駆け引きは何だったのか判らないまま攻撃再開してもう一隻撃沈して、艦長死んじゃって国旗に巻いて水葬して終わり。艦長の妻は副艦長が面倒見るに違いないと思われた。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。