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[コメント] としごろ(1973/日)

森昌子秋谷陽子石川さゆり山口百恵という浮かび上がる当時の序列に沿って、石川はレイプされ、山口はデヴュー曲がタイトルなのに唄わせてもらえない。芸能界裏事情の抑圧を観客にも押しつけるかのようで実に辛気臭い。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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市村泰一は同年に『ひとつぶの涙』『あこがれ』があり、前者は良作だが、後者は本作同様に部活もののアイドル映画で、浅田美代子は大事にされる一方、知らないアイドルでセックスがドロドロ描かれていた。製作側が華やかな60年代アイドル映画に飽き足らず意欲的に取り組んだリアリズムなのだろうか。殺伐とした時代背景に合わせた殺伐とした演出でないと観客が受け入れないという判断だったのだろうか。いずれにせよ、愉しめるのはやっぱり華やかなシーンだった。

中卒で就職する森昌子が時代。そしてもっぱら華やかなのは森昌子だった。バレー部活の競争社会から脱出できて良かったとホッコリしている具合。工員服で工場で歌う「中学三年生」は妙でもあるがいいシーン。演技は編集まかせだが発声がいいので明るさが印象に残る。彼女は儲け役だ。

当時和田アキ子が普通の人間を演じるのはレアだろう。チンピラに仁義で地金出す。山口百恵にモンローウォークの指導する。こういうのは愉しい。

無茶苦茶可愛い石川さゆりは(ボディダブルだが)レイプされて妊娠させられて心中。仏前で両親と学校と新聞記者がやり合う件までがグロい。性教育が趣旨ならもっと真面目にやってもらいたかった。石川は津軽海峡(77)まで地味なアイドルだった。

この頃のアイドル映画は森次晃嗣頻出だが、事務所の関係なんだろうか。熱血指導で秋谷陽子に骨折させるとは指導員として失格でお話にならない。彼を皮肉るかのように森昌子は「せんせい」を唄うのだった。

(評価:★2)

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