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[コメント] 嫌われ松子の一生(2006/日)

好きな断片もあるのだけど、肯定的に向き合おうという気にさせてくれない作品。聖書の扱い他、いろんな浅さが好きにさせてくれない。作品自体の積極的な浅さは時代の似姿だと映画は語るのだろうけれど。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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病弱の妹市川実日子ばかり大事にする父香川照之という昭和風の設定に始まり、先生時代のやたら浅薄な修学旅行の生徒盗難もみ消し失敗ほか、学校とか文学志望とか風俗とか、手垢のついた場所でパロディをしていて、ギャグ映画としての安心感があるがそれ以上にはならない。

映画は終盤に進むにつれて、ロシア文学風の貧者の聖性を訴えるのだが、DV伊勢崎友介の聖書による回心は駆け足でまるで届いてこない。こんなのは聖書をネタにしているだけで、観る人が観たら顰蹙ものだろう。

収束、夜遊びしていて注意した子供たちに彼女を殺させるブニュエル好みは何とも云えない人間不信(神の子に殺させたというニュアンスがあるが考え過ぎか)。一番浅薄なのは家から追い出す兄の香川照之というのが安物のメロドラマに似すぎている。最後の童謡風の曲流しての回想もやり過ぎ。

好きな断片もあった。いいなと思ったのは、極妻風の黒沢あすかが甥の瑛太を、あんたが家族だろう天国の松ちゃんが呼び出したんだと語る件。最後に病弱の妹市川を登場させて髪を切る件のも優しくていい(中谷は刑務所で理容を学んでいる設定)。新幹線に一度乗ってみたくて上京とか、光ゲンジが生甲斐という時代の浅さは切ない。団子三兄弟ブームで肥ったともある。初見。

(評価:★3)

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