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[コメント] ボーはおそれている(2023/米)

愛よりも憎しみを確かめあう仁義なき戦い。帰省って確かにそんなものなのかもしれない。罪悪感が現実認識を歪める信頼できない語り手の画面にその観察が乗せられて、全てが哀しくオモロな人生の比喩表現になる。そんな中で開陳されるホアキンの痴態が面白くないわけがなく、ネイサンの垂れ眉などナイスキャスティングなのだが、どうにも突き抜けず、「壮大な茶番走馬灯」の域を出ない。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アイデア一発で、あとは画の圧力でギリギリ押し通るアスターらしさといえばらしさである。『トゥルーマンショー』やら『マトリックス』やら『ミザリー』やら、もしかしたらデヴィッド・リンチとか、色々な映画や良い演出を参照・研究しているオタクなんだろうなあというのもはっきり分かって、それはむしろ好印象ではあるのだが、例えばタランティーノ先生レベルで脱構築するような突き抜けがなく、良くできたトレースの羅列以上のものを感じない。その突き抜けを求めるのは贅沢なのかも、と思わせるくらい面白いと言えば面白いのだが、アスターにはその突き抜けを期待したくなる。厳しめの星3。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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