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[コメント] 最後の忠臣蔵(2010/日)

可音の心境や言動が何に影響されどう変わったのか、また瀬尾孫左衛門がいかに苦労して育ててきたかのくだりが余りにも少なすぎて(タイミングが遅すぎて)、最後の最後で感情移入できない。
kazooJTR

**ネタバレ注意**
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時代劇でややこしいセリフを使うが、話がいい意味で単純で忠臣蔵を知らない人でも楽しめる作品になっている。 父娘(育ての父だが)の親子愛に、また主君への忠誠心を表現するに対して、それぞれの役者が上手くハマっており、音楽も見事。各所に散りばめられる「曽根崎心中」とも上手くマッチしている。

もちろん大石内蔵助への忠誠心や吉良邸討ち入りの話を知っていたほうが楽しめるのは間違いないが、予備知識無しでも十分に話についていける。その点は心配ない。

脚本が貧弱。 この映画の欠点はあまりに各人の描写が少なくて感情移入が出来ない点である。 可音は自分が嫁ぐと決意するまでどんな心境や言動を経たのか、また瀬尾孫左衛門(役所広司)がいかに苦労して可音を育ててきたか、のくだりが余りにも少なすぎて、嫁ぐシーンや最後の忠誠を全うするシーンで感情移入できない。

はっきり言って、寺坂吉右衛門(佐藤浩市)がいなくてもこの話は成り立つと思うし、時間が足りないならそれを削ってでも各人の描写を描くべきだろう。

また唐突すぎる部分が多く、嫁ぐ際に赤穂関係者が次々と列に加わってくるシーン、寺坂吉右衛門との決闘シーンなど。 象徴的だったのが、可音が嫁いだ日にゆう(安田成美)が16年待っていたとかで、いきなり孫左衛門を誘うシーンだ。枕の並んだ布団の映し方も下品だし、作風に合わない。一層のこと「16年間お疲れさまでした」とか言って感動シーンとしたほうが、よっぽど良い。

新しい見方をする時代劇ではあったが、親子愛と忠誠心を共に描こうとした挙句、何か焦点がボケた気がしてならない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)死ぬまでシネマ[*] ガリガリ博士

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