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[コメント] グリード(1925/米)

サイレント期に全盛を迎えたシュトロハイムの不遇にSO-SO
junojuna

 自身の創造宇宙に壮大なスケールを孕んでいたことで共通する米国の2大巨頭グリフィスとシュトロハイムであるが、画づくりという点ではグリフィスに到底及ばなかったシュトロハイムといった感がある本作。サイレント期という、映画がある意味制約的な条件下で創造される芸術であった時期にこの類まれな才能は消費されてしまった。呪われた作家の本家であることが感慨深く偲ばれる。本作に秘めたるヴァイオレンスの表現すなわち作家・シュトロハイムの美学はこのサイレントという小宇宙ではあまりにも窮屈である。その傲岸ぶりで贅の極みを尽くした完全主義でユニヴァーサルを追われたシュトロハイムに、手を差し伸べたサミュエル・ゴールドウィンは男の中の男であった。しかし当初完成予定であったオリジナルは12時間ものにもなる常軌を逸した超大作。この尊大な獅子を手なづけることができなかった映画史に乾杯したい。時代が追いつけなかったシュトロハイムの御霊に合掌である。

(評価:★3)

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