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[コメント] ターミネーター3(2003/米)

敢えて湿っぽさを備えたSFヒューマニズムという系譜を安易に受け継がず、体育会系のド派手バカアクションに仕上げた根性に乾杯。ショーウィンドウのマネキンの列にマネキンターミネーチャンが現われ苦笑。お寒いギャグで前二作に戦線布告だ!
ishou

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 こんな時期にDVDで初見という浅はかなワタクシ。単につまらなそうという怠惰な理由で見逃して、2のテレビ放送で刺激されて手を出してみたら思わぬ拾いものだった。

 わざわざ町中で車を高速でぶっとばし、さっそく捕まっちゃうターミネーチャン。そのほかヘリコプターに追われればまっすぐ来るものに対し反対方面にまっすぐ逃げちゃう始末(笑)。「頭脳明晰」と嘯くシュワちゃん。これも心理学をプログラムされた故の虚言なのだろう。

 ところで、壮絶なミスキャストに見えるジョンコナー。なぜ、こんな木偶の坊ジャンキーに仕立てたのか。全くもって指導者の資質なんてあったもんじゃない。しかし、彼は未来の人類にとって必要な人間であったことには違いない。というのは、未来の出来事を本当に信じることができるのは彼だけだからだ。実際に母親と命がけの行動をともにし、人生をめちゃくちゃにされた彼だけが人類の向かえる危機をまことに信じることができる。むしろ、この一点でのみこそ彼は未来の人類から必要とされていたのだ。環境問題を含め、起こりうる危機を指摘するあらゆる言説も実際に起きてはいないからという理由で、先駆的であるがゆえに狂った思想と見なす社会に対する実に気の利いた皮肉だ。どんなダメ人間でも危機を本気で知りさえすれば救世主となるのだと。

 だが一つだけ苦言を呈せば、ラストシーンは受け入れ難い。絵的には実に美しいラストだ。核ミサイルが地上に降り注ぎ、ニューワールドの始まりを告げる。まさに遠い距離から地球を見下ろす人工衛星的視点で描かれたCGシーン。けれども、地上では爆風のもとに無数のヒトが潰されている。だからこそのアイロニーともいえる。だが、このシーンは受け入れ難い。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ダリア[*] けにろん[*]

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