オチは知ってた、読めた、いろいろあると思うけど、そうじゃない人もおそらく薄々気づいてたんだと思う。それでもある種の恍惚を感じるのは、やはり伏線がうまいからでしょう。宇宙探索にいくなんてことも、生物としての目的を超越した純粋に科学的な試みであって、ある種の危うさを感じさせるものだし、あるいは未知の惑星に降り立って命の危険がせまっているにも関らず、自国の旗を掲げるという行為のあべこべさ。そんな倒錯的な欲望に大笑いしてしまうくらい批判的な主人公も、自らの危機を乗り切るためとはいえ、結局は暴力的所作に訴えてしまうのだ。そして、これらのことが全て崩れ落ちた自由の女神という答えにつながってくる。もちろん、"進化"したはずの人間が下等動物として描かれている理由もそこにある。

結局のところ、観衆に何が起きたのかといえば、多数の情報が凝縮されてしかもメタフォリカルに語られることによって、想定外の出来事に対する驚きというより、むしろ理解の洪水が起こったように思う。そしておそらく、そういうものこそが本当のカタルシスなのだろう。だから、重要なのは気づかせないことじゃなく、あるいはもはやバレバレかもしれないその結論をどう見せるかなのであって、作品の結末はその点で優れていると思う。