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[コメント] 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(2010/日)

やっぱり台詞がよろしくない、恥ずかしい。それは私にとって映画への没入を阻む障害だ。染谷将太でさえ台詞を自分のものにできていない。奔放な語りに見えて「映画的」を獲得することにかけては過去の模範に則りすぎている印象も受ける。けど田畑智子さんがとびっきり可愛く撮られているので堪忍したい。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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過去の模範に則った「映画的」について例を挙げれば、たとえば自転車のシーン。染谷と大政絢の二人乗り自転車が水平横方向に走りつづけ、カメラはそのさまを平行移動しながらワンカットで収める。さらに大政はそこで染谷に目隠しまでしてしまう。「自転車」「二人乗り」「目隠し」「横移動」「ワンカット」とこれほど「映画的」を重ねながら、しかし私はこのシーンにまるでワクワクを覚えなかった。演出が模範解答をなぞることに終始して上滑りしている。監督本人も「こんなはずじゃなかったのに」と試写で首をひねったのではないか(同様に「映画的」を目指したであろう自転車演出が上首尾に行かなかった例は、最近でも冨永昌敬乱暴と待機』に確認できます)。ラストカットもそうだ。俯瞰の構図が決まっているので私は好きなカットだけれども、「風船」などを用いた祝祭感の演出はやはり教科書を超えたマジックをもたらすには至っていない。

そうとは云いながら、鈴木卓爾の出演シーンが洒落にならんほど怖いという一点だけを取り上げても、瀬田なつきが平凡な演出力の監督でないということはじゅうぶんに明らかだ。子供の演出に強そうなのも頼もしい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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