[コメント] 舞台恐怖症(1950/英=米)
ヒッチコックによるキャラクタリゼーションの面白さを堪能できる。リチャード・トッドは親身になってくれるジェーン・ワイマンに向かって「君は彼女(マレーネ・ディートリッヒ)に嫉妬してるんだ!」と抜かすなどして、なかなかのサイテー男。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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などと思っていると、ラストではトッドがほとんどビョーキな正真正銘のサイテー男であったということが明らかになるのだから、ヒッチコックの演出には無駄がない。一方で、物語の本筋からすれば「無駄」であるからこそ面白い演出も多い。その最たる例は射的屋の女ジョイス・グレンフェルで、この射的のシーンのような「無駄な」面白さこそ私が映画に求めるものだ。他にもメイドのケイ・ウォルシュや酒場でワイマンに話しかけてくる眼鏡の中年男などもやけにアッピールしてくるし、もちろんワイマンの両親アラステア・シムとシビル・ソーンダイクの微妙に奇妙なキャラクタ造型も面白い。ディートリッヒの演技は奇を衒ったものではないが、むろんそんなことをせずとも圧倒的な存在感を放っている(美しくも禍々しい顔面へのクロースアップ!)。そうなってくると刑事マイケル・ワイルディングのキャラクタだけがなんだか喰い足りないのだが、それはそれで構わないのだ。彼の役名は「オーディナリー・スミス」なのだから。
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