コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 明日に処刑を…(1972/米)

主人公を「女性」に、舞台を「南部」に置く点でマーティン・スコセッシの作品暦上に特異な位置を占めるが、やはり最大の魅力はスコセッシらしい仕方で育まれた「違和感」だ。カット間およびシーン間の円滑な連繋に対する無頓着。ちぐはぐなダイアローグ。生々しいとも嘘臭いとも云える唐突な暴力の炸裂。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







このようにリアリズムを犠牲にした演出が辿り着く先は、云うまでもなくラストカットの強烈な「別離」のイメージだ。アヴァン・タイトルにおいて線路工夫として地面に釘を打ちつけていたデヴィッド・キャラダインは磔にされ、バーバラ・ハーシーは父親が墜落死したときと同様に掛け替えのない男性が死にゆくのを為す術なく見ていることしかできない。キリスト教に対するスコセッシの捻れた執着が生んだ磔刑演出は、ラストシーンとファーストシーンをやはり捻れた輪として接続する。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ナム太郎[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。