[コメント] 来る(2018/日)
前半、あれだけ執拗に夫婦の関係性にスポットを当てていたのに、その帰結なく梯子を外され激しく拍子抜け。後半のストーリーにも惹かれず。ただし、おそろしく偏執的なカッティングや劇伴使いは一見の価値あり。
良くも悪くも、ストーリーから集中力を削ぐような画面作り、カッティング、劇伴の使い方が、非常に特殊。
例えば、妻夫木が青木崇高に相談するために訪れる居酒屋シーン。 会話中に矢鱈とカットを刻んでいるうえ、2人の会話の合間に、執拗なぐらいに他のお店の客の様子を映す、それも移動ショットを。
また、岡田と松たか子が屋外のベンチに座って話すシーン。 ロングショットで撮られているが、カメラと2人との間を、遊んでいる子どもたちがバンバン横切っていくため、そちらに気がとられてしまう。
松たか子がお祓いの準備をしているシーンでは、劇伴でBonnie Pinkの「Evil and Flowers」の少女らによる合唱バージョンが流れるが、本来は厳かな空気のもとで松たか子のモノローグを聞くのが自然なところ、フワフワした少女の合唱により映像と気持ちの折り合いがつけにくい。
こんなシーンが、その他にもいくつもあり、敢えて観客にストーリーに没入させない意図のようなものががひしひしと感じられる。
決して心地良くはないが、この試みは評価に値しよう。
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