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[コメント] 独立少年合唱団(2000/日)

日本映画では珍しい清廉な香の漂う青春映画、クラシックの趣
地平線のドーリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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伊藤淳史と藤間宇宙の芝居は好い。彼らを演出した緒方監督の手腕は見事だ。

構成として、昭和30年代の全共闘世代のエピソードが挟まれている。一見、違和感があった。合唱団中心の物語かと思っていたからだ。ただ、この構成の是非はおいておいて、かつて映画で描かれた「あの時代」としては、一番空気が漂ってくるものだった。 「光の雨」などと比べても抜群によかった。あまりにも有名で、それぞれが固定したイメージを持つ時代を描く場合はこうした周縁的な物語の方がかえって時代感を新鮮に感じさせるのかもしれない。

合唱団員を演じていた少年少女たちも非常に自然だった。現代っ子の彼らから、自然な演技を引き出した演出はよかった。きっと、いい現場だったのだろう。 まず、台本にそってそれぞれに思うまま演じさせてみる。その上で演技として必要な要素を導きだし、不必要な要素を省いていく。日々続く撮影において、毎日モチベーションを保たせ、役柄へと向かわせる。そうしたプロセスを欠かさず、丁寧に行ったという印象がある。

プロデューサーの仙頭氏のような人間が日本映画にはどんどん必要だ。テレビ局中心で作られる原作もの・安易なリメイクではない、オリジナルものを作るべきだ。

(評価:★4)

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