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[コメント] 気狂いピエロ(1965/仏)

そして俺は自虐に至る。この映画のレビューはひたすら個人的なものです。
れーじ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず断言しますが、口が裂けても僕はこの映画について美しいという言葉は使えません。

この上なく閉じた意識の映画なのに、殻を感じない変な感触。 多分、それは外側以上にマリアンヌとフェルディナンが狂っているから。 そしてそのことをはっきり自覚していて、でもそれをあくまでドライに受け止めて、自虐も甘えもないままに、ひたすらドライに自滅に向かって疾走して行く。

キャラも展開も、徹底的にアナーキー、かつグロテスクでケバケバしく、それが観てる側の脳細胞ををぐちょぐちょに攪拌していく。

…この人間味のなさはどうだ。

当然劇中の誰かの感情移入できるような余裕なんてこれっぽっちもなくなって、僕はただ傍観者と言う立場で居るしかない。しかしだからこそ感じるラストのカタルシス。

僅かに「人間」を垣間見せ、後悔し、しかし全ては手遅れだ、というミもフタもないあのラスト。

そう、あのラスト、僕が感じたのは「ざまあみろ」という黒い愉悦だった。

そして同時に、その行為が映画同様にグロテスクだと、この映画に侵された心のどこかがひたすらドライに嘲笑する。

…何だ、俺もピエロじゃないか。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ina けにろん[*]

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